三菱自動車工業株式会社

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自動車はそもそも環境負荷の大きな商品

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三菱自動車工業株式会社

「i-MiEV」は、国内外において、様々な形で活用されているようですね。

この点、まだ実験段階だという意見もあれば、すでに実用化が大いに進んでいるという見方もあるようです。

まずは、昨年(2009年)7月に日本市場に投入しました。

ある地域にまとまった台数が導入されている例では、長崎県の五島列島に、島全体で100台の「i-MiEV」をレンタカーなどとして導入し、すでに急速充電器も8ヶ所15基が設置されています(※2010年6月現在)。五島列島には数多くの文化遺産のキリスト教の教会が点在しているのですが、電気自動車でそれらを巡るのというのは、排出ガスを出さないのでクリーンであり、これらの文化遺産にもダメージを与えない、しかも静かであるというメリットがあります。さらに、「i-MiEV」は軽自動車がベースなので、道幅の狭いところでもきびきびと走行することが可能です。

長崎では昨年、文化遺産の保護と観光振興を目的とする、産官学の140団体が参画した「長崎EV&ITSプロジェクト(通称:長崎エビッツ)」を立ち上げています。このプロジェクトは、環境にやさしいEV(電気自動車)とITS(高度道路交通システム)の組み合わせにより、「未来型ドライブ観光モデル」の実現を目指すものです。五島列島全体で100台の「i-MiEV」をレンタカーなどとして導入したのは、その一環です。

今年(2010年)7月3日には、五島列島の福江島に100台もの「i-MiEV」が集結し、パレードが行われました。電気自動車のパレードとしては世界で最長のものであり、ギネスブックの世界記録として認定されています。

世界最長のEV100台パレードの様子

京都でも、早い時期から電気自動車普及の取り組みを進めています。京都のケースでは、まずは、電気自動車というものを市民の方々に知ってもらうため、京都市所有の「i-MiEV」を使った市民向けカーシェアリングを行いました。

また、紅葉シーズンにはパーク&ライドを実施しています。紅葉の名所である嵐山地区などでは、マイカーの乗り入れ規制があるので、嵐山地区の交通には阪急電鉄嵐山線を利用することになるのですが、駐車場から最寄りの駅までの送迎に「i-MiEV」が活用され、環境汚染の防止や渋滞の解消・緩和に大きく貢献することができました。

当社のパワートレイン製作所京都工場は嵐山地区の近く(※京都市太秦)にあり、11月になると、操業していない土曜日や日曜日などの休日には、観光客のために駐車場をパーク&ライドのために開放しています。その駐車場から嵐電天神川駅までの送迎に、京都市所有の「i-MiEV」が用いられました。

パーク&ライドの送迎に使われた「i-MiEV」

最近では、EVのタクシーやレンタカーで神社に行くと拝観料が割引される、あるいは記念品をもらうことができるといった、「京都EV・PHV物語(※)」という取り組みも行われています。京都以外でも、青森県の奥入瀬渓谷や鹿児島県の屋久島などでも、電気自動車関連の取り組みが行われています。

このように「観光」に電気自動車を用いることで、文化遺産や自然遺産を守ることができるため、多くの都道府県で、電気自動車と観光を組み合わせた取り組みが行われています。

※PHV=プラグインハイブリッド車のこと。

国内だけではなく、英国やアイルランドなど国外でも様々な取り組みが行われています。

昨年(2009年)12月12日に、英国第二の都市であるバーミンガムのセンチュリースクエアに、計25台もの「i-MiEV」が集結しました。これは、英国の公共機関「Technology Strategy Board」が主催する超低炭素車デモプログラムに、三菱自動車が「i-MiEV」を供給したものです。公用車としての実用性や日常生活における利便性を確認し、電気自動車を広く普及させることで、環境に配慮した街となることを目指しています。

アイルランドのダブリンでも、政府や同国の電力供給公社EBS社の協力により、今年の5月から15台の「i-MiEV」を使った実証走行実験をスタートしています。アイルランド政府では、2020年までに同国内の全自動車の10%をEVにするという目標を掲げており、その実現に向けて、今後2年間にわたって実証試験を行っていきます。

また、アイルランド政府ではEV購入者への補助金交付(5,000ユーロ)や自動車登録税の免除など、すでに支援措置を実施しています。さらに、2011年末までにアイルランド全土に3,500ヶ所もの充電ポイントと、30ヶ所の急速充電器を設置することが発表されています。

このように、海外からの「i-MiEV」の引き合いは多く、今後の本格的な輸出出荷を前に、仕向け国や生産台数の計画を、次々に見直しているという状況です。

電気自動車の場合、インフラの問題があると思いますが。

そうですね。まずは充電方式の統一規格を考える必要があります。日本でいえば、プラグインハイブリッド車も含め、他社と規格は同一としています。その規格を世界に広めなければならないということで、東京電力株式会社を中心に、国内外含めて265社・団体が参加する、急速充電器の設置場所の拡大と充電方式の標準化を目指す「CHAdeMO(チャデモ)協議会」が設立されました。

この協議会では、現在唯一実用化している日本の急速充電方式を、「CHAdeMO方式」として世界に広めることを目指して活動しています。

ちなみに、この「CHAdeMO」とは“Charge de Move(動く・進むためのチャージ)”から命名されているのですが、「クルマの充電中にお茶でもどうですか?」という意味もあります。

「CHAdeMO」のマーク

自治体などが急速充電器を増やす活動を進めていますが、三菱自動車ではさらに、当社の販売店に急速充電器や200Vのコンセントの設置を進めています。

今年の(2010年)4月には、東名高速道路の海老名(神奈川県)と上郷(愛知県)のサービスエリアの上下線に、EV用の急速充電器が設置されました。急速充電器が設置された公共施設の駐車場も増えてきています。

さらには、公共施設以外でもショッピングセンター(イオン)やコンビニエンスストア(ローソン)など、環境問題に高い関心を有する企業では、店舗などに急速充電器を設置していただいています。

環境への取り組みに関する今後の方針についてお聞かせください。

先述したように、環境への取り組みに関する今後の方針は、「三菱自動車グループ 環境ビジョン2020」の内容に集約されているかと思います。

全生産台数の2割を電気自動車にするということは、口にするだけならば簡単ですが、現実にそのようにするのはとても難しいことです。昨年度(2009年度)は、約1,600台を生産するにとどまりました。今年度の場合、海外の販売台数を含めても9,000台ほどと予想されるので、全体の生産台数からすると1%にも達していない状況です。それを今後10年で2割にするというのは大変なことですが、あきらめずに挑戦していきたいと考えています。また、当然ですが既存のガソリン車の燃費向上も進めていく必要があります。

そして、工場などの生産領域・販売店・物流などを含め、製品以外の部分でもさらに環境への取り組みを進めていかなければなりません。CO2排出量の削減だけでなく、廃棄物を減らすことや「パジェロの森」などの植林活動についても取り組んでいきます。

電気自動車を生産・販売している企業として、当社では現在でも製品以外の側面においてもしっかりと環境への取り組みを行うことが必要ですが、今後もそういった努力を続けていきたいと考えています。

橋本様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。今後の「i-MiEV」の普及と、さらなる可能性に期待しています。


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