貴社では「エコトイ」活動を行っていますが、これはどのようなものなのですか。
「エコトイ」活動を始める前から、タカラトミーグループは「共遊玩具」という考え方を推進していました。「共遊玩具」とは、当社が提唱し始めた、目や耳の不自由な子どもたちも一緒に楽しく遊べるおもちゃのことです。また、目が不自由な子どもたちとも一緒に楽しめるおもちゃには「盲導犬マーク」を、耳が不自由な子どもたちとも一緒に楽しめるおもちゃには「うさぎマーク」をパッケージなどに付けて、お客さまにも分かりやすく伝える活動をしています。
現在(※2012年4月現在)よりも約30年前にトミー(現タカラトミー)から広がったこの取り組みは、現在では「社団法人 日本玩具協会」のもと、ほかの玩具メーカーさんと一緒に取り組みを進めています。
「エコトイ」活動についても、本業であるおもちゃを通じて子どもたちに向けて何か発信できないかということからスタートました。玩具メーカーである当社には個性的な考えやユニークなアイデアを持っている社員が多いので、そのような考えやアイデアを生かしながらタカラトミーグループらしい環境活動を広めていきたい、そして、環境の取り組みというのは本業を絡めて進めていかなければ、会社全体で長く続けるのは難しいと考えていました。
そこで出てきたキーワードが「おもちゃ」と「子どもたち」です。この2つのキーワードは当社で働いているすべての人にとって欠かせないものであり、この2つを軸にすることで、全社員がかかわることの可能な環境への取り組みができるのではないかと考えました。
この「おもちゃ」と「子どもたち」というキーワードを基に、環境について考えてもらうきっかけをつくりたいという思いから、「エコトイ」活動がスタートしました。「エコトイ」とは、おもちゃの開発設計・生産・遊び・メンテナンス・リサイクルという、ライフサイクルの各シーンで考えた環境配慮の自社基準を満たしているおもちゃです。また、「共遊玩具」と同様にお客さまに分かりやすく伝えていくため、対象商品には「エコトイ」マークを付け、どのような点がエコなのかという情報も同時に発信しています。
「エコトイ」マークには、「おもちゃづくりがエコ」「あそびがエコ」「ながくあそべてエコ」の3種類があります。おもちゃで遊ぶときに環境に配慮している場合には「あそびがエコ」、製造段階において環境に配慮している場合には「おもちゃづくりがエコ」というように、「エコトイ」マークと一緒にどのような点でエコなのかを記載しています。また、パッケージの裏面にも親御さんだけでなく、お子さんでも理解できるようなエコ情報を掲載しています。このような形で、購入するお客さまにも分かりやすく伝えるようにしているのです。
例えば、「くるく~るエコFan」は「あそびがエコ」な商品で、電池を必要とせず繰り返し遊べるおもちゃです。後述する「エコトイ」の基準では「省エネルギー&廃棄物削減」に該当します。1回ハンドルを回すとファンが約100回転も動くギアの技術を採用しているので、かなりの風力を感じられるのですが、これまでは電池を使用していた商品を、電池なしで同じ機能となるように改良しました。電池を使用しなくても遊べることが環境にいいことだという「気付き」を、子どもたちにも感じてもらえればと思います。また、この商品は、子どもたちだけでなく大人の方からも、節電の暑い夏を楽しく乗り切るアイテムとして注目されているようです。
当社のおもちゃを通じて、少しでも子どもたちに環境について知るきっかけを与える、あるいは環境に興味を持ってもらうことができれば、「エコトイ」活動はさらに素晴らしいものとなるはずです。
毎年6月に、東京ビッグサイトで国内最大規模のおもちゃのイベント「東京おもちゃショー」が開催されているのですが、そこでも現在開発中の「エコトイ」を紹介できるかと思います(※2012年4月に取材)。
- 環境問題への注目が高まった2008年にECOプロジェクトが発足
- 「共遊玩具」がベースとなった「エコトイ」
- 「エコトイ」の4つの基準と具体的な工夫
- 社外で高い評価を受ける「エコトイ」のユニークな取り組み
- 「思い出」や「思い入れ」のあるおもちゃに新たな命を
- 社内・社外における積極的な活動
- 「おもちゃ」と「子どもたち」がこれからのキーワード
(c)TOMY
「トミカ」はタカラトミーの登録商標です。