具体的な例としては、アーティストへのインタビューコンテンツがあります。

よく夏に野外ライブなどが開催されていますが、このような音楽活動には環境に対する意識や思いが形になったものが増えていることをご存知でしょうか。

例えば、小林武史、櫻井和寿、坂本龍一の3人が中心となり始まった「ap bank」。彼らは、ライブの収益を自然エネルギーや省エネルギーなど環境に関するプロジェクトに融資活動をしています。ライブや音楽活動の収益はその活動資金に充てられています。

そういったアーティストから環境に対するメッセージを発信してもらうことで、環境問題に興味がない人や知識がない人に関心を持ってもらうことができるのではないかということで始まったのが、「地球にリスペクト！」というコンテンツなのです。

ファンも影響を受けてか、アーティストの提唱することを実践しているようです。アーティストの方々からも反響のメッセージをいただきました。このように、少しずつ環境問題への認識が広まり、企画をしてよかったと感じています。

しかし、我々から一方的に情報を発信することには限界を感じ始めており、いかに「goo」のユーザと一緒にサービスを展開するかが重要であると考えています。

ユーザと共に何かできないかということで立ち上がった企画が、昨年行った新潟の「有機無農薬コシヒカリ稲刈り体験」です。これは、「環境goo」のユーザが現地のコシヒカリの生産者やNPOと協力して、稲刈りまでの1年間を体験するものです。

それまでは、我々が取材した内容を一方的に発信して終わりでした。しかし、このようにユーザが参加している状況を実際に見てもらうといった企画はとても好評と分かり、サービス展開に新たな方向性を見出すことができました。参加者が刈り取った稲の1本を持ち帰り、自宅のベランダでの生育状況をホームページでお互い公開し合うことがなされているようです。

現在、ユーザと一緒にできる別の企画を立ち上げています。大手電機メーカーである株式会社 東芝様とのプロジェクト、「東芝環境コミュニケーションプログラム」がそれです。

今日CSR（企業の社会的責任）が注目されていますが、企業単独で社会貢献的な施策を行うことはなかなか難しい状況です。そのようなとき、NPO（非営利団体）に協力していただくことが多いのです。

NPOにご協力いただくといっても、不安な点はあります。日本全国にNPOとして登録している団体は数多くありますが、実際にどのような活動をしているかを1団体ごとに知ることは時間的にも人員的にも不可能です。

しかし、企業様からご相談を受けるときに、「環境goo」との付き合いがあるNPOならば安心という話をいただくまでになりました。8年間続けてきたからこそNPO、アーティスト、自治体、企業との信頼関係が構築できたのです。このように築いてきたネットワークは、「環境goo」と共に我々にとって貴重な財産といえるでしょう。

今回のプロジェクトも、NPOにご協力いただく形で話が進展した企画なのです。東芝様は米国で原子力発電に取り組んでいることもあって、エネルギーを経営課題とする方針の下、企業として一般の消費者とどのように環境コミュニケーション（マッチング）を図るかを問題としていました。それを解決することができたのが、このプロジェクトです。

プロジェクトの1回目として、9月に自然のエネルギーを体験することを行いました。神奈川県相模原市藤野町の道志川というところで、親子20名ほどで救命胴衣のようなものを身に着け、実際に水に浮かんで川の流れをじかに感じることや、川にいる虫が海にいる虫とどう違うのかを学びました。

そのときお招きした講師が、NPOの方というわけです。実際に自然体験をするだけではなく、さらに「気づき」を深めるため、1週間後にはワークショップ（体験講座）を開催しました。

これは、自らが体験した川の流れ（自然のエネルギー）が、現在の生活にいかに活かされているかを知ってもらうものです。東芝様ならではですが、洗濯機を例に挙げ、水流で汚れを落としているということを理解していただき、自然のエネルギーがどれほど重要であるかを学んでもらいました。

東芝様としては先ほどのようなプログラムを実際に行い、それを企業のCSRとして情報発信したいというのは確かです。しかし、我々はあくまでもメディアであるため、広告掲載から得られる収入が主要な収益源であって、コンサルティング料的なものがそれに該当するというわけではありません。