「アースカプセル昆虫採集」開発の経緯についてお聞かせください。
ガシャポン商品容器であるカプセルが燃えないゴミになってしまうので、素材の研究については以前から進められており、プラスチック以外のものでカプセルや玩具を作ることができないか、再生紙などを用いて試行錯誤していました。
2004年からガシャポンでは、プラスチックのカプセルの一部を、ままごとセットの商品の一部として利用した商品開発が始まり、発売することができました。
カプセルそのものの形状を多少変えることで、キャラクター商品の一部として利用していたこともありました。
カプセルのプラスチックは石油資源なのですが、カプセルのゴミは大型店舗では月に約300~400kg出ることもあって、捨てられてしまうカプセルの材料の見直しが始まりました。紙で作ることが可能ならば燃えるゴミにもでき、再生古紙としても利用が可能です。
合体ロボットの商品の包装を、発泡スチロールからパルプモールド(古紙素材)に変えてかなり経っているのですが、「これができるのであればカプセルも可能ではないか」と思ったのです。そこでこっそりと試作の金型を作ってみると、「案外いけるんじゃないか」ということが分かりましたね(笑)。その当時は古紙がそれほど高いものではなく、プラスチックよりも十分安くできるということで、2007年に本格的に紙カプセルのプロジェクトを進める予定でした。そのとき私は環境推進の部署に移動になり、同時に古紙の価格が値上がりしたこともあって、紙カプセルの実現は難しくなったためにしばらく見合わせていたのです。
そこで次に何かできないかということで、「バイオマスチップ」に目が止まったのです。初回はスギの森林の間伐材を上手く活用し、ポリプロピレンと調合して作られたものを採用しました。有機資源が含まれているので、カーボンオフセットに適した材料といえます。森を守るためには枝切をしたり、下草狩りをしたり、間引きをしたりと作業をするのですが、倒木のまま放置させておくと、山が荒れてしまうのです。そういった問題があるなか、間引きや間伐を行っていた業者の方から余った樹木や枝を何かのおもちゃに利用できないかとご提案をいただき、一緒に研究することになりました。
最初はプラモデルに利用しようと試みたのですが、上手くいきませんでした。検討を重ねていくうちに、素材の色つやと肌触り、自然を意識したモチーフと風合いが適しているということで、「昆虫」をテーマに商品開発することが決定しました。
シリーズの第2弾として、2008年3月に「キーコーヒー株式会社」様との協力の下、コーヒーの「シルバースキン(※)」を使った商品が発売されています。カプセル容器、商品共に、ほんのりとコーヒーの香りがします。
(※)コーヒー豆を包んでいる薄皮の部分。
ちなみに、「アースカプセル昆虫採集」のガシャポン1個を作るのに、120杯分のコーヒーのシルバースキンが使用されています。
「キーコーヒー株式会社」様との協力で商品を作られたとのことですが、何か苦労した点はありますか。
なぜ「キーコーヒー株式会社」さんなのかというと、このバイオマスチップの技術研究を一緒に行ったところが千葉県の企業だったのです。スギの間伐材についても、千葉県の山武(さんむ)市にある森林保護区の間伐材を使っているのですが、その企業とキーコーヒー株式会社さんの間に取引があり、同じようにキーコーヒー株式会社さんも、商品を作るときの「残さ」を何かに利用できないかと考えていたのです。
そのとき、弊社がこのような「アースカプセル昆虫採集」を作っていることを知っていただき、そのような経緯で、第2弾はキーコーヒー株式会社さんと一緒にとなったのです。
接点としては「千葉県」でしょうか。材料の開発から生産まで、すべてこの県で行っています。要するに「地産地消」ということです。最初は環境ということよりも、「Made In Japan」にこだわったからこそ生まれたともいえるでしょう。
引き続き、このような有機資源を利用した素材での取り組みは検討したいと考えています。
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