「アースカプセル昆虫採集」は農林水産大臣賞受賞ということですが。
「第4回エコプロダクツ大賞」では「農林水産大臣賞」をいただきましたが、実は8月頃から賞の募集があったのです。そこで、私の方で環境に配慮した商品として最適だと考え、応募要綱に記入して応募しました。
「アースカプセル昆虫採集」は、玩具としては初めて「バイオマスマーク」を取得し、併せて安全基準を満たした「STマーク(※)」も取得している商品です。
(※)「Safety Toy」の頭文字をとったもの。社団法人日本玩具協会が認定する、おもちゃの安全基準をクリアした商品にのみ付けることができるマーク。
弊社の取扱商品ははキャラクター商品がほとんどで、新しい商品を生み出す場合、どういった人たちに向けて、どういったものを作るかというところから始まります。
「アースカプセル昆虫採集」が特殊なのは、まず「素材ありき」で開発が始まったという点です。その素材から何ができるかといった開発の経緯が、通常の製品の場合とは異なっています。
そう考えると、この濃い茶色でロボットのプラモデルなどのキャラクター商品は難しく、何か自然の風合いが生かせるものはないかということで、夏(6月)に向けて発売するということもあって「昆虫」という提案がなされました。
子供たちにはもちろん、「アースカプセル昆虫採集」は大人の方にも好評でした。他企業の環境担当部署の方とお話しする機会があったのですが、「こういう面白いものがあって……」と持ち出されたものが「アースカプセル昆虫採集」だったということがありました。バンダイ商品だと知られていないのは残念でしたけど、逆に、ブランドに頼らない商品力があるということがわかり、誇らしくもなりました。
とても精巧にできていますね。
もともとキャラクターのフィギュアなどの精巧な造形で培った技術がありますので、そういったところを上手く生かせたのではないかなと思います。造形はもちろん、色つやも昆虫にあまりにもそっくりなので、お母様方が本物と間違えてびっくりされたというお話もあったようです(笑)。
ちなみに「アースカプセル昆虫採集 コーヒーver.」は、2008年3月下旬に発売されました。バイオマスチップを用いてこのようなカプセル玩具を作るということは、バンダイが初めて取り組んだのですが、弊社だけで実現したのではなく、協力していただいた他の企業様があってこそ実現できた商品といえます。
開発する人間としては、お恥ずかしい話、最近になって環境について関心を持ったのですが、最初はバイオマスチップという面白い素材があるということを知り、興味を持ったことから「アースカプセル」が始まったのです。
「カーボンニュートラルって何?」「なぜCO2が排出されないようになるの?」と環境に関わっていくうちに、バイオマスチップという素材の素晴らしさが分かってきました。単純に面白い素材に出会うことができたというだけではなく、商品化が実現できたということは嬉しく思います。
商品を販売していくなかで、農林水産大臣賞など予想外のところで反響をいただき、バンダイナムコグループの社内表彰をいただきました。
普段自分が携わっている仕事は変身ヒーローものやロボットなどキャラクター商品が主ですが、自分の仕事の範囲を広げることができたので、「アースカプセル昆虫採集」というのは自分にとっても環境への取り組みとしても意義のある商品だと自負しています。
開発における苦労点はありますか。
未知の材料を使ったという点ですね。プラスチックと同じように成型できるというお話だったのですが、実際に使ってみると違うということが分かりました。
木材にプラスチックを混ぜて成型するとき、自然で育った素材ということもあって砂鉄などが混ざっている場合があります。検針機という金属に反応する機械があるのですが、完成した商品をこの検針機で品質確認すると、すべて反応してしまうのです。それは意外な盲点なのですが、針が混入しているわけではないにしても、金属に反応してしまうんです。また、射出成形機で成形するときにガスが排出されるのですが、そのガスは環境に悪いというものではないにしても、機械にこびりついて成型効率を落とすなどの問題が出てきたため、生産スケジュールの立て方などを見直すきっかけにはなりました。
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