今回の「エコなニュース」は、環境タイヤ「ECOPIA(エコピア)」ブランドでおなじみの株式会社ブリヂストン様の取り組みをご紹介。
株式会社ブリヂストン様では、リトレッド事業の「エコバリューパック」や電子ペーパーの開発など、数多くの取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。
- 環境戦略企画部部長
濵田様
- 環境戦略企画部
環境戦略企画ユニットリーダー
稲継様
早速ですが、よろしくお願いいたします。
環境に関する取り組みを始めたきっかけをお聞かせください。
以前より当社では、生産事業所での環境管理、具体的には廃棄物の削減や公害の防止などを行っていました。また、お客様からはISO14001を取得したらどうかという声をいただいておりました。
このようなことがベースとなり、ブリヂストンでは「環境理念」というものを2002年に制定しました。これからは「環境管理」ではなく「環境経営」ということで、全社一丸となって環境活動のレベルアップを図ったのです。
「環境理念」は2009年に「環境宣言」へと名称を変更しました。当社の環境に対する想いや基本姿勢が記された「環境宣言」をよりどころとして、当社は環境経営に沿った活動を進めています。
「環境宣言」の具体的な内容についてお聞かせください。
今年(2011年)の5月20日に、「環境宣言」のリファインを行いました。今年リファインされた「環境宣言」は、3代目に当たります。“未来のすべての子どもたちが『安心』して暮らしていくために…”という、将来を見据えた上で環境活動をしましょうという文言は、当初から変わらないメッセージとなっています。
それに加えて、どのような取り組みを実施するのかといった環境の基本姿勢を掲げています。
ブリヂストンでは具体的な取り組みとして、どのような部分で何をすべきなのかという点を、「木」によって視覚化しているのがユニークといえるでしょう。大きく、「商品・サービス」「モノづくり」「社会貢献」という3つの領域と、「環境コミュニケーション」「環境マネジメントシステム(TEAMS)」という2つの基軸によって構成されています。
「環境マネジメントシステム(TEAMS)」とは「Total Environmental Advanced Management System」の略称です。ブリヂストングループ全体で行っているもので、この「TEAMS」を活用してさらに上の環境活動を推進していきます。
2つの基軸で支えながら、3つの領域でしっかりと成果を出していく仕組みとなっているのです。
昨今では社会的にもCO2の削減や持続可能な社会の実現という方向に進んでいます。そこで、当社が特に重要と考える「3つの社会の実現(自然共生社会、循環型社会および低炭素社会)に向けた、当社の長期的な環境活動の方向性を明確にしました。つまり、当社としての方向性を『「自然と共生する」「資源を大切に使う」「CO2を減らす」という3つの活動を行っていきます』という分かりやすい表現で明示し、従業員や社会で生活している方々と一緒になって、しっかりと活動していくことを今回のリファインにて宣言しています。
この「環境宣言」こそが、当社で働いている約14万人の環境に関する共通の想いであり基本姿勢となっているのです。「環境宣言」の内容を共有し、全員が同じ方向を見ながら取り組みを進めます。例えるなら、日本の「憲法」のようなものですね。
「環境宣言」のリファインは、どれくらいの頻度で行われるのですか。
当社の環境に関する大原則=憲法のようなものなので、基本的には「環境宣言」の内容を変更することはありません。
そうはいっても、時代の要請に応じて見直すべきところは変えていかなければなりません。そのため、あえて“リファイン”という言葉を使っているのです。見直すべきところは変更するが、今までに培ってきた“財産”は引き継いでいくということです。
今回「環境宣言」をリファインするに当たり、そのバックボーンとして、2050年に世界はどのような状況になっているか、当社はどこを目指していくべきか、そのためには2020年までに何をすべきなのかという課題があります。その課題を解決するためのひとつの活動として、CO2の削減目標を掲げているわけですが、それでは現在何に取り組むべきなのかということを、当社ではバックキャスティングによって組み立てています。そのため、時代の要請に応じて見直すべき部分もあるものの、根本的な部分については変更する必要はないわけです。
CO2排出量の削減というのは、なかなか難しいことではないかと思いますが。
商品を生産している工場では、ご存じのとおり多くの企業で行っているものと同様、省エネやエネルギー転換などのCO2排出量を削減する取り組みを実施しています。
グローバルな視点ではまだ改善の余地がありますが、国内に目を向けるとかなりCO2排出量の削減に貢献しているといえるでしょう。
ただし、タイヤのライフサイクル全体を考えた場合、お客様の運転時の燃費由来によるところがCO2の排出量の9割ほども占めています。そのため、当社の商品の転がり抵抗を改善して、お客様の低燃費に結びつける取り組みを増やした場合、タイヤのライフサイクル全体で見たときのCO2排出量削減に大きく寄与することとなります。そこで、当社はライフサイクル全体でのCO2排出量の削減の観点から、転がり抵抗の改善への取り組みを進めています。
貴社はエコ・ファースト企業に認定されていますが、そちらについてもお話をお聞かせください。
「環境宣言」のリファインのタイミングもあって、その流れで今までにブリヂストンが取り組んできた活動について改めて社内で見直し、内容を集約することができました。それを、「エコ・ファーストの約束」という形で環境省に提出したのです。
「エコ・ファーストの約束」では“未来のすべての子どもたちが『安心』して暮らしていくために…”という想いを込めた「環境宣言」に基づき、持続可能な社会の実現に向けて、地球環境の保全と多様な生活者一人ひとりの安全と健康に配慮した企業活動を推進することを前提として掲げ、4つの約束を記載しています。
約束の内容には、先述した「自然と共生する」「資源を大切に使う」「CO2を減らす」という3つの活動がもちろん含まれています。
エコ・ファースト企業の認定は、業界内でも早いほうだったのですか。
エコ・ファースト企業として認定されたのは、業界では3社目となります。当社としては、まずはしっかりとCO2排出量の削減目標を立てることが重要だと考えており、コミットメントできる状態で初めて、エコ・ファーストの約束をするべきだろうと真摯に受け止めていました。なお、CO2排出量の削減を目標に掲げたのは、タイヤ業界では初めてとなります。
- 3つの社会の実現-「環境宣言」
- ナノレベルの技術で転がり抵抗を低減-環境タイヤ「ECOPIA(エコピア)」ブランド
- 「発泡ゴム」が強み-環境対応スタッドレスタイヤ「BLIZZAK REVO GZ」
- リトレッドタイヤで省資源に貢献-「エコバリューパック」
- ペーパーレスと省電力化に貢献-電子ペーパー情報端末「AeroBee(エアロビー)」
- 環境意識の向上の取り組み-環境コミュニケーション
- 行政とタイアップした森林保全-「B・フォレスト エコピアの森」