PETボトルのリサイクルへ取り組むようになったきっかけは、どのようなものですか。
「PETボトルリサイクル推進協議会」の調べによると、2006年度のPETボトルの回収率は66.3%だそうです。PETボトルそのものが普及したこともあるとはいえ、過去10年ほど前には10%以下だったことを考えると、環境意識の高まりもあいまって、急速に回収率が伸びているといえるでしょう。ただし、回収率85~90%であるビンや缶と比較するとまだ低いのが現状です。PETボトルは比較的新しい容器であるとはいえ、リサイクルや資源の有効活用という点ではまだ課題があるといえるでしょう。
実は、PETボトルというのはとても有用な資源でもあります。身近なところではフリース、タマゴのパック、カーペットなどの繊維の一部などに使われており、コカ・コーラならではの例としては、セールスフォースのユニフォームや空容器回収ボックスなど、自社の事業に関連する資材として再利用しています。さらに最近では、「からだ巡茶(410mlPETボトル)」の様に、製品のラベルにPETボトルのリサイクル素材を25%使用した製品も販売しています。ちなみにコカ・コーラがPETボトルのリサイクルに取り組み始めたのは、現在のように注目される以前の1997年頃からで、今後も業界全体と足並みを揃えながら、様々な施策を検討していきたいと考えています。また、実際にPETボトルの回収率を向上しリサイクルを促進するため、一般の方々にむけた啓発にも力を入れて取り組んでいます。その具体例のひとつとして、昨年から開始している「リサイクルステーション」の取り組みがあります。
「リサイクルステーション」について、詳しくお聞かせください。
「リサイクルステーション」とは、飲み終えたPETボトルの空容器を素材ごとに分別し、リサイクルの仕組みを理解してもらうことを目的に開発された、リサイクル啓発パネルと透明の回収ボックスの集合キットとなります。単に我々メーカーが「分別してリサイクルに協力してください」といっても、実際に回収された容器がどのようにリサイクルされているのか分からない人も多いはずです。そこで「回収されたPETボトル、ビンや缶はこのようになります」ということを情報としてきちんと提供することで、リサイクルに対する関心を高め、実際の行動へと促すことを意図しています。
コカ・コーラシステムでは全国で様々なイベントを行っていますが、そういった各種イベントでリサイクルステーションを積極的に設置することで、地道な啓発へとつなげています。昨年(2007年)は、大分の「水フォーラム」や年末の「エコプロダクツ展」においても設置させていただいたところ、来場者やイベントの主催者からも好評をいただきました。
また全国のボトラー社のなかには、自社でリサイクルセンターを持っている会社もあります。
自社で、PETボトルのリサイクルを行っているのですか。
循環型社会の構築に貢献する取り組みとして、現在(2008年)、ボトラー社が全国で8つのリサイクルセンターを運営しています。自販機の横に設置している回収ボックスから集めたPETボトルを、トラックの上に積んで運ぶのをご覧になったことがあると思います。通常、回収後は業者に託してリサイクルしているのを一部のボトラー社では、自社のリサイクルセンターに運び、適正に分別・圧縮して再生業者に渡しています。
この点については、「サスティナブル・パッケージ」というグローバルな取り組みが背景にあります。直訳すると“持続可能な容器包装”という意味になりますが、容器の一連のライフサイクルからの視点で、きちんと環境に配慮した取り組みを行うというものです。企画・研究の段階では軽量化や省資源化を目指し、リサイクルしやすい形状にする。販売面ではリサイクルの啓発を行う。回収時には回収ボックスを設置して分別のメリットを伝えて、分別排出していただく。自社リサイクルセンターがあるところでは、回収した容器を適正に分別しベールという塊にして再生業者に提供する。そしてリサイクルした原料を使った資材や製品を調達する。具体的にはこのようなことです。
- グループのプラットフォーム 「eKO(イー・ケー・オー)システム」
- グローバルな取り組みだから分かること
- 省エネ自動販売機「e-40」と「eKOシステム」
- 容器はゴミではなく資源です 「PETボトルのリサイクル」
- PETボトルひとつにもこだわりがある
- 世界遺産をじかに体験 コカ・コーラ「森に学ぼう」プロジェクト
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