インサイトのハイブリッドシステムの特徴は、どのようなものなのですか。
インサイトの特徴を簡単にいうと、1.3リッターのガソリンエンジンに10 kwのモーターを組み合わせたということです。
エンジンの出力、車の走りに関していうと、1.8リッタークラスのガソリンエンジン車よりも爽快感を得ることができます。エンジンというのはもともと弱い部分があります。発進して低速=エンジンの回転数が小さいときは、なかなかパワーが出ない(トルクが出ない)のです。そこをモーターで補うというのが、インサイトの基本的な構造です。
ホンダでは、1999年に初代インサイトを発表しました。その後国内外でシビックハイブリッド、さらにその後アメリカ限定でアコードハイブリッドを販売し、今日の2代目インサイトに至っています。これらは基本的に全て同じシステムを採用しており、エンジンとトランスミッションの間にとても薄い(6cmほどの)モーターを挟みこむ構造となっています。
システムの特徴としては、加速時にモーターがエンジンの補助を行います。車が一定速で走行しているとき、つまり負荷レベル(車が必要としている馬力)が小さいときは、モーターだけが動いている状態です。ただし、ホンダでは構造を簡潔にするために、モーターとエンジンを直結させています。そのため、一定速で走行しているときにはエンジンは仕事をせず、空回りをしています。そこから少し負荷が高くなると、モーターは動きを止め、エンジンのみで走行をするようになります。平らな道路を時速80km/hで走る場合、基本的にエンジンが仕事をしているのです。
その状態からアクセルから足を離した場合、車はスピードを落とすことになるわけですが、減速のブレーキ力を電気エネルギーに回生してバッテリーに戻します。そして、車が止まるとエンジンも停止します。停止時から再び走ろうとして、ブレーキペダルから足を離すとエンジンがかかり、車が走行することとなります。このような一連の流れが、エンジンの弱点をモーターが補うというインサイトの持つ基本的な性能です。
(ハイブリッドではない)一般車のエンジンシステムとハイブリッド専用車インサイトのエンジンシステムを比較すると、インサイトは極めてシンプルなシステムとなっています。エンジンとトランスミッションの間に6cmほどの薄いモーターを挟みこみ、そこから太い電線が出ている構造となっているため、エンジンの外観はほとんど従来の車と同じなのです。ハイブリッド用の電池やコントロールユニットを、今までの開発のなかで小さくしていき、現在採用しているものはかなり小型化・軽量化を実現しています。システムがとてもシンプルで、車両重量が一般のガソリンエンジン車に比べてあまり重くならないというのが、インサイトのハイブリッドシステムのもうひとつの大きな特徴といえます。
「インサイトは電気モーターだけで走行することはできないのですか」という声をいただくケースも多いのですが、エンジンをモーターが補うシステムにしているのは、インサイトの構造をシンプル化することにより、お客様にとって非常に安く素晴らしい製品を企業活動として無理なく提供できるように心がけているためです。
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