本田技研工業株式会社 :: 後編

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実用化に先駆けて開発-新型燃料電池車「FCXクラリティ」

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本田技研工業株式会社 :: 後編

将来的には、電気自動車は普及するとお考えですか。

電気自動車のところで、市販化は難しいということをお話しましたが、CO2の排出をドラスティックに減らすことを考えるのであれば、自動車の走行時に使われる化石(石油)燃料の量を減らす以外にはありません。

化石燃料の量を減らすには、バイオ燃料という選択肢もあります。実はバイオ燃料というのは、世のなかに存在するエネルギー源の量という観点で考えると、非常に効率が悪いのです。効率よくバイオ燃料を作るためには、植物のなかでも実の部分を使うのが一番いいのです。しかし、実の部分を使うとなると、食べることのできる部分を搾取しているわけなので、将来を考えると現在のバイオ燃料には疑問点があるといわざるを得ません。そこで極めて基礎的ではありますが、植物のかす(稲わらや麦わら、コーンの皮)などからエタノールを精製する研究も実施しています。

使う化石燃料を減らすのであれば、現状で考えられる有効な技術は電化だといえるでしょう。電気エネルギーに替えるということが重要であり、電化が進むことに対して疑問はありません。ただし、全てを電気自動車にするということについては、技術的な面でまだ問題があると考えています。

世のなかで何かが普及するときは、その物を使う人がありとあらゆる面で新しい価値を認めたときに、初めて普及につながるのだと考えています。携帯電話を例にすると、通話料が安くなり、どこからでも使える通話環境が整い、そして電池性能が急激に改善されたとき、爆発的な普及が起こりました。どこか我慢して使っているうちは、普及することはありません。そのため、電気自動車に関しても、地域や利用状況を限定すればヒットするという考え方に賛同することはできません。電気自動車の普及には、まだ時間がかかるのではないかと思っています。

電気自動車が普及するまでのつなぎは何かと考えた場合、化石燃料の使用を減らしたいので、できる限り電化された車ということになります。そうなると、ハイブリッドカーというのは、ユーザの側からすると何ひとつ不自由がありません。既存のガソリン車と同じガソリンを同じだけの量入れて使用することができ、従来よりも長い距離を走行することが可能で、ガソリンの使用量自体が減っているので経済的な負担が減るわけです。唯一の問題点としては、車両価格が高過ぎれば購入する人はいないということでしょう。

将来的には電気自動車にシフトすると思っていますが、現在の電池の性能と車の構造のままでは、普及には時間がかかるのではないかというわけです。そのため、ハイブリッドの時代はしばらく続くのではないかと考えています。

気候変動に対して、ホンダもCO2の排出を減らすことについては積極的に取り組むべきであり、地球温暖化というのはとても危ない状況だと受け止めています。2050年までに世界でCO2などの温室効果ガス(GHG=Greenhouse Gas)の排出を半分にするという目標について、ホンダも賛同し、企業活動においてどこまで目標に近づけることができるか検討していきます。不可能だとあきらめるのではなく、目標を達成するために進んでいきます。


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