代表的な環境に配慮した製品として、どのようなものがありますか。
当社で製造・販売を行っている「ねりスパイス」シリーズがあります。「ねりスパイス」シリーズでは、容器の改良という点について工夫しました。
ハウス食品では、アルミチューブ入りのねりスパイスを1973年に発売し、多層プラスチックチューブの採用や中身を絞り出しやすくするためのチューブの薄肉化など、継続的な改良を行ってきました。しかし、チューブという容器の構造上、最後のほうになるとどうしても中身が残ってしまうのです。
今回の改良では、チューブの先端ネジ部や肩部の形状を工夫し、最後まで絞り出しやすくして中身が残らないようにしました。これにより、最後まで使い切ることが可能です。実は、中身を最後まで絞り出しやすくした工夫は、お客様からいただいた「もったいない」という声や、中身が残ったままだとリサイクルしにくいということがきっかけなのです。
このような工夫は、食品の無駄をなくす、廃棄物をなくすということにつながります。また、パッケージ(外箱・包装)の奥行き寸法を小さくして(※容積を10%削減)環境負荷を低減させ、折りたたみやすくすることで容易に捨てられるようにしています。さらに、購入時に貼られているアルミシールを大きくしてつまみやすくすることにより、簡単にはがせる工夫もなされています。
これらの工夫が評価され、「社団法人 日本包装技術協会」が主催する「2011日本パッケージングコンテスト」で、経済産業大臣賞を受賞することができました。
容器の薄肉化やパッケージの縮小化・軽量化といった、省資源化に取り組んだ製品もありますね。
当社では、容器の薄肉化やパッケージの縮小化・軽量化を絶えず行っているので、これといったものを挙げるのは難しいですね。現在販売されている製品のほとんどでは、すでにそのような改良がなされています。
代表的な製品をあえて挙げるとするならば、「プライムカレー」「ふうふうシチュークリーム」「オー・ザック」「ウコンの力」などですね。
「プライムカレー」ではトレー(内容器)の厚さを450μm(マイクロメートル(※))から400μmに薄肉化することより、従来と比較して年間で約6.9tも包装材を削減することができました。この薄肉化により、鍋にルウを入れる際に崩しやすくなっています。
※1マイクロメートル は0.001ミリメートル。
「ふうふうシチュークリーム」でも、トレー(内容器)の厚さを370μmから310μmに薄肉化することより、年間で約12.1tもの包装材を削減しています。
「オー・ザック」では内容量は維持しつつ、パッケージを小型化することにより、年間で約20万平方メートルもの包装材を削減することができました。これは、東京ドームの約4倍に相当する削減量になります。
「ウコンの力(※「ウコンの力 SUPER」を除く)」では、ボトルの軽量化により、従来比で約5%ものアルミの使用量削減を実現しています。
このように、当社ではほとんどの製品で容器の薄肉化やパッケージの縮小化・軽量化がなされています。
さらに、リサイクルという点では、「C1000 ビタミンレモンコラーゲン」にカレット(※)を90%以上も使ったリサイクルボトルを採用しています。この点が評価され、「日本ガラスびん協会」が主催する「ガラスびんアワード2010」において、環境優秀賞を受賞することができました。
※びんを破砕したガラスくずのこと。
- 安心・安全と環境配慮とのバランス
- 容器や包装の工夫で環境負荷を低減
- 新たな切り口の環境配慮製品-「温めずにおいしいカレー」
- 「食」という視点から環境配慮の情報発信
- 「環境」と「食」と「農」を学ぶ-「ハウス食と農と環境の体験教室」
- 仕事のなかにどのように環境というテーマを盛り込むか