新しく発売された「温めずにおいしいカレー」という製品がありますね。
今年(2011年)の8月22日に新しく発売された「温めずにおいしいカレー」は、その名前にあるように、加熱調理せずそのままごはんにかけてお召し上がりいただけるレトルトカレーです。
「温めずにおいしいカレー」を開発するに至った背景として、今回の東日本大震災の経験が大きく影響しており、かなり多くのお客様から非常時に温めずに食べられるレトルトカレーはないかというご要望をいただいたことがあります。
昨今の節電や省エネルギーへの関心の高まりもあり、温めないので熱エネルギーを使わずに済み、香り高いカレーを楽しむことが可能という意味では、新しい切り口の環境に配慮した製品といえるでしょう。
災害時の非常食としてだけでなく、お弁当やアウトドアなどの場面でも活躍するはずです。動物性ではなく、植物性の脂を使っているので、さっぱりとした香り高いカレーを楽しめます。植物性の脂は融点が低いので固まることがなく、流動性があるという特長を有しています。
また、「プライムカレー」でも従来製品の約50%もの油脂量を削減しており、カロリーオフであることはもちろん、食後の皿を洗うときに使用する水を減らすことにも貢献しています。固形ルウが小分けで包装されているので、必要な皿数だけ作るというように小家族化への対応ができるので、無駄のない製品だといえるでしょう。
スパイス関連では、詰め替え用の袋を販売し、中身を残したままびんを捨てることのないように取り組んでいます。確かにゴミは増えてしまいますが、個別包装により、中身を使い切ることなく無駄にしてしまうという事態は避けられます。ゴミを減らすこともできればそれがベストではありますが、それよりも当社では製品の中身を無駄にすることのほうがもったいないと考えています。そのような意味でも、環境へ配慮しているといえるでしょう。
以前に、当社ではレトルトカレーの製品について、パッケージ「あり」と「なし(※レトルトパウチに印刷しただけの製品)」を並べ、どちらを購入するかというアンケートを実施したことがありました。環境面だけを考えると、パッケージなしの製品を購入するお客様のほうが多いと予想できます。
確かに、パッケージをなくして販売することも可能です。しかし、陳列する際の見栄えや運送時に製品自体に傷がつくリスク、物流効率などを考慮すると、パッケージがあるほうがいいといえます。単に環境問題の視点からパッケージは不要とするのではなく、製品の中身とともにパッケージの意味・機能について評価すべきではないでしょうか。先述したように、今後は環境配慮に目を向けていく必要がありますが、製品の安全・安心を優先するという点も考慮しなければならないので難しいところです。
安全・安心について十分対応がなされたうえで、環境にも配慮しているのであればいいのですが、どんなに環境に優しくても、安全面や安心面が不十分ならばそれは問題です。そのため、製品とパッケージという両方の側面から、どうすれば環境配慮という点で最適な選択なのかを常に意識していきたいと考えています。
貴社のルウ製品では、トレーくずの再利用も行われているそうですね。
「バーモントカレー」など、当社のルウ製品に使われているトレー容器の製造過程で発生するくずを再利用しています。
トレー容器の基となるシートを打ち抜くときにくずが発生するのですが、それを集めて粉砕し、シートを作るという形で再利用しています。無駄に捨てるものをなくし、可能な限り再利用していこうという取り組みです。
- 安心・安全と環境配慮とのバランス
- 容器や包装の工夫で環境負荷を低減
- 新たな切り口の環境配慮製品-「温めずにおいしいカレー」
- 「食」という視点から環境配慮の情報発信
- 「環境」と「食」と「農」を学ぶ-「ハウス食と農と環境の体験教室」
- 仕事のなかにどのように環境というテーマを盛り込むか