今回の「エコなニュース」は、株式会社兵左衛門様の取り組みをご紹介。
株式会社兵左衛門様では、日本の食文化に欠かせないお箸作りに折れたバット使うという、環境を意識した取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。
- 営業本部
東京支店 支店長浦谷 様
- 広報
吉田 様
早速ですが、よろしくお願いいたします。
貴社の環境への取り組みのきっかけはどのようなものですか。
環境への取り組みのきっかけ……というほど大きなものではなく、特に意識をして取り組みを始めたというわけではありません。お箸の素材については、建材などで利用されない部分を用いているのです。環境に意識せずとも準じていたということでしょうか。環境への取り組みというよりも、お箸の持ち方や使い方、日本の伝統の文化を伝えていきたいという思いのほうが強かったのかもしれません。その思いに付随する形で、My箸を持ち歩きましょうといった流れに波及していきました。
環境への取り組みは、先にあったものではなく、後からついてきたという認識でしょうね。
「かっとばし!!」「すべりこみ」「ブルぺん」といった商品を作るきっかけはどのようなものですか。
最初は、新聞の記事を見たことがきっかけです。バットの素材となるアオダモ(※)が少なくなってきていること、バット製造のときに出る端材が薪にしか利用価値がないこと、端材が余っているため、それ用いて製品などを作る企業を探しているといった内容が掲載されていました。それは北海道大学の教授の方が書かれていた記事なのですが、兵左衛門としても、お箸を作っている企業として端材を利用することができないかと考えました。そこで、端材を使って、試しにお箸を作らせていただけないかお願いをしたのです。
※アオダモ=モクセイ科の温帯性広葉樹
実は、お箸に合う素材というのは国内ではあまりないのです。お箸というのはある程度力が加わるものなので、軟らかかったり軽過ぎたりするのではすぐに折れてしまい、製品にはなりません。
しかしアオダモを使ったところ、バットの素材に用いられることもあって、ある程度の重みや十分なしなりがあり、お箸に合う素材ということが分かりました。アオダモを使いたいとお願いしていくなかで、「アオダモ資源育成の会」の方々とお知り合いになることができました。兵左衛門でも2年ほどの間、アオダモの端材でお箸を作ってはいたのですが、売れませんでした。
そのようななか、ある百貨店の方に、キャンプや練習などで折れたバットを捨てたり燃やしたりしているということを聞き、折れたバットをお箸に利用することができるのではないかと尋ねられました。そのときの一言がきっかけで、NPO「アオダモ資源育成の会」とお話しする機会を設けていただき、折れたバットをお箸作りに使いたいということを訴えました。
その後、送られてきたバットで試しにお箸を作ってみると、バットがお箸作りに最適だということが分かりました。そこで、野球関係の団体などにお願いして日本全国から折れたバットを集めたのです。野球関係といっても、球団の方はもちろん、球場で働く人たち、大学野球などあらゆる方面にお願いしました。
実は、折れたバットというのは、今まではお金を払って捨てていたのです。産業廃棄物に該当するため、そのまま捨てるというわけにはいきません。わざわざお金を払って捨てるのはもったいなく、宅配業者を利用して送ることが可能ということもあり、各方面から折れたバットを集めることができました。そして、折れたバットを素材に作ったお箸、「かっとばし!!」を商品として販売を始めました。
今まで、折れたバットや単なる端材として見向きもされなかったものが、「かっとばし!!」というお箸になることで、とても注目されるようになったのです。
- 「かっとばし!!」で環境問題に「すべりこみ」(1)
- 「かっとばし!!」で環境問題に「すべりこみ」(2)
- 「かっとばし!!」で環境問題に「すべりこみ」(3)
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