飲料の製造の際に出てくる茶殻は、主に飼料や、土に戻るたい肥としてリサイクルしています。

しかし、茶殻には消臭や抗菌効果のある、お茶の成分のカテキンが多く残っています。当社では茶殻を単に土に戻すのではなく、その有用成分を有効に利用できないかと考えました。そこで、消臭や抗菌といった効能を無駄なく生活のなかでご利用いただける、茶殻配合製品の開発に乗り出したのです。

茶殻というのは水分を含んだままでは、湿度が高く傷みやすいので、含水状態のまま運搬するのはとても難しいのです。乾燥させてから運送するのは簡単ですが、乾燥にはエネルギーを使うことになります。

そのようなこともあり、茶殻を含水のまま輸送・保存する「茶殻リサイクルシステム」を開発しました。この技術は当社独自のものであり、茶殻を金属以外の紙やプラスチック、木材など、あらゆるものに混ぜた茶殻配合製品を協力各社と共同開発しております。現在では、畳からベンチ、紙製品に至るまで様々な茶殻を利用した製品が登場しており、それらが実際に販売・利用されています。

「茶殻リサイクルシステム」は、環境大臣賞や農林水産大臣賞などを受賞しており、お茶の成分の持つ効果や、その有効活用技術をお知らせできたことは、大変うれしく思います。

お茶入り畳の「さらり畳」があります。畳というのはなかに芯材を使うのですが、「さらり畳」ではその部分に茶殻と木材を配合した「茶配合ボード」を採用しています。ボード表面にある茶色の模様のように見えるものが茶殻なのですが、茶殻の利用によって資材の削減につながるうえ、抗菌・消臭効果によって室内を清潔に保つことが可能です。

この茶配合ボードは、今年（2010年）の3月8日から始まった住宅エコポイントの対象として登録されました。

お茶入りインソールの「カテキン快足」という製品もあります。靴のなかに入れていただくと、抗菌・消臭効果はもちろん、緑茶の香りが広がります。

ほかにも茶殻を利用した製品は数多くあるのですが、実は当社の約5,000人の社員が使っている名刺も「茶殻入り名刺」です。

また、「お茶入りベンチ」や、茶配合パネルを装着した、抗菌機能を有する自動販売機の「茶殻入り抗菌エコベンダー」もあります。抗菌作用があるので、病院や介護施設に設置していただくケースも増えています。自動販売機の外壁に茶配合パネルを使用することによって、景観に配慮することができるというメリットもあり、寺院などにも設置していただいています。一般に、自動販売機の表面はピカピカしているイメージがあるかと思いますが、装着する茶配合パネルはそのような表面ではないため、神社の境内に設置する場合でも問題なく、景観に配慮することができるというわけです。

さらには、茶殻配合樹脂を使用した「お茶入りボールペン」などもあります。

茶殻リサイクルシステムは、海外原料の削減にも貢献しています。「お～いお茶」をはじめとする当社の緑茶飲料は、国産茶葉を100％使用し、国内で製造しています。その製造工程で発生する茶殻の配合により、輸入の紙原料の使用量を削減し、原料の一部を国産の茶殻に置き換えることになります。紙の海外原料の輸入の際のエネルギーの削減にも貢献できるため、茶殻リサイクルシステムは環境に配慮した技術といえるでしょう。今では、茶殻リサイクルシステムによる茶殻配合紙製品のラインナップもかなり登場しており、「お茶入りダンボール」や「茶殻入り紙ナプキン」、「お茶殻入り封筒」まであります。

以前では、「茶殻入りあぶらとり紙」を「お～いお茶」の販促物として活用したこともあります。

やはり、茶殻を含水のままの状態で維持し、傷まないように運送・保存し、加工する段階まで進めるところですね。

そうですね。住宅エコポイントの対象として登録された「茶配合ボード」や、レーザープリンタやインクジェットプリンタで印刷可能な茶殻入り名刺用紙「マルチカード〈名刺〉茶殻リサイクル紙」など身近な製品を通じて、お茶の持つ抗菌効果・消臭効果という利点についても、多くの人に知っていただきたいので、今後も積極的に展開してまいります。

昨年開催された「エコプロダクツ2009」では、ブースにお越しいただいた小学生以下のお子様に、茶殻入りの名刺を作って差し上げ、大変ご好評いただきました。また、大人のお客様も展示されている茶殻入りの製品を手にして、お茶のよい香りがすると驚かれていましたね。お茶が身近なものであるため、ご興味を持たれた方が多かったのではないでしょうか。

クイズラリーには、大量に用意した用紙の全てが最終日の15時前にはなくなってしまうほど、多くのお客様に足を運んでいただきました。実は、エコプロダクツに出展したのは昨年（2009年）が初めてだったのです。好評だったということもあり、今年（2010年）もエコプロダクツに出展する予定です。