茶産地育成事業発足のきっかけについてお聞かせください。
緑茶飲料市場の拡大とともに、茶葉の需要が増える一方、茶葉生産の現場では就農人口、茶園面積ともに減少傾向にあります。その原因は、就農者の高齢化や後継者問題、相場の乱高下による経営不安などが考えられています。さらには、茶園に限らないのですが、地域によっては遊休農地や耕作放棄地の増加も深刻な問題となっています。
茶産地育成事業というのは、そのような土地を有効に利用して、農業従事者を増やすことに貢献するという面もあります。当社の農業技術部の人間が、茶園育成のノウハウを教えることにより、「お~いお茶」のブランドが目指す品質の茶葉を育てることができ、遊休農地の活用にも貢献することが可能です。「お~いお茶」は、国産の茶葉を100%使用しております。そのため、「お~いお茶」ブランドに適した良質な茶葉が必要です。そこで、高品質な原料茶葉の安定調達と効率化、生産農家の育成を行うべく、新しい産地を展開していこうというのが、茶産地育成事業を発足したきっかけです。
茶産地育成事業に関しては、行政や農協、民間企業などが手を組んで、お互いにメリットのある形で進めていくことを考えています。茶産地育成事業では、当社が茶葉を全て買い取ることをお約束しています。
お茶というのは、植えてから収穫までに5年ほどかかります。苗木から育てるのですが、苗木を植えて根づいてから5年の年月を経て、やっと収穫ができるのです。つまり、収穫までの間の5年近くは、その茶園からの収入はなく、農業に従事する方にとってはかなりのリスクを伴います。当社の茶産地育成事業では、全量買い取りのお約束があって事業参入できるので、そのような不安は解消されます。また、当社の茶産地育成事業では機械化によるコストの削減を実現し、品質はもちろん、価格面においても優良な原料の安定調達を可能としました。
茶産地育成事業は現在、宮崎県都城市、大分県臼杵市(うすきし)・杵築市(きつきし)などで展開しております。大分県の茶産地育成事業に参入のカヤノ農産様は、地元の土木建設業者の昭和建設工業様がつくった農事組合法人で、“建設業の会社による農業参入”という点が特徴といえるでしょう。建設業というのは年度末の時期が特に忙しいのですが、農作業時期である4月から10月にかけては繁忙期と重ならないので、タイミングがいいのです。また、パワーショベルなどの建築機械を十分に活用するノウハウをお持ちのため、土地をならす造成もあっという間に終わりました。本業の建設業で出る間伐材などの余った木材をチップに加工して、それを畝間(うねま=作物の間)に敷き詰めていました。こうすることで雑草が生えるのを防ぐことができ、木材チップはそのまま土に戻って肥料となるという、効率的なアイディアには感心しました。
ちなみに、当社ホームページの茶産地育成事業を紹介するページでは、各地の茶産地育成事業を行っている土地を360度のパノラマ画面で見ることができます。ぜひ多くの方々にご覧になってもらいたいですね。
今後も茶産地育成事業の土地は増えていくのですか。
まだ、全体的に見れば少ない割合なので、今後もさらに茶産地育成事業を進めていき、将来的には1,000ヘクタール規模に拡大する予定です。
産地の経済的な面にも寄与することができ、行政は地場産業を守ることが、農協や農家様は遊休農地を活用することができます。また、当社は、安定した原料茶葉の確保ができるという点で、三者がWin-Winの関係にあります。茶葉は農作物であるため、その土地や気候などにより品質や収穫量は変わってきます。その点、茶産地育成事業では当社が収穫した全量を買い取ることにより、安心して茶葉の栽培に従事していただけると思います。
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