貴社では、ホームページやブログによって積極的に環境情報の発信をなさっていますね。
当社では、毎年6月の環境月間に合わせて「社会・環境報告書」の編集を行っているのですが、完成するとそれをホームページでも公開しています。2001年版よりスタートしており、2012年版では全95ページ中、環境の情報を26ページも掲載しています。また、主な活動について分かりやすくまとめたハイライト版も用意しています。
なお、ホームページでは「社会・環境報告書」のフルレポート版とハイライト版の両方を閲覧することができます。ただし、フルレポート版はページ数も多く、ペーパーレスの観点から冊子としてお配りするのはハイライト版の方になります。
さらに、分かりやすさの観点からまとめたものに“キユーピーの「横顔」”があります。社会と環境、食育についてコラムのような形で簡潔に記載されているので、とても読みやすくなっています。
「社会と環境について語るブログ」は、2007年から運営しています。ブログでは、随時環境関連の話題や活動について自由な視点から情報発信を行っており、社会・環境推進部だけでなく、全国の事業所で働いている従業員が記事をアップしています。
「キユーピーの森」という取り組みについてお聞かせください。
「キユーピーの森」は、2007年9月より5年という期間限定で実施したもので、2012年9月で契約期間が終了しています。
山梨県富士吉田市にはキユーピーグループの関連会社や工場があり、重要な拠点の一つとなっています。自然、特に水の恵みに育まれて生産活動を行えることに加えて、地元のNPO法人や組合から企業の森のお話をいただいたこともあり、森林保全活動の取り組みをスタートしました。
当社ができることはほんのわずかではありますが、下草刈り・間伐・徐伐などを行って豊かな水を育む森の保全に努めました。
環境というよりは社会貢献活動になるのですが、当社ではマッチングギフト制度「Qpeace(キユーピース)」というものを行っています。これは、2008年からスタートしており、従業員が社会・環境団体に寄付を行うことを支援する取り組みです。寄付先は「食」「子ども」「環境」という3つに分けられており、どこにどの程度の金額を寄付するかは従業員が自由に決めることが可能です。また、会社では従業員が出したお金と同額を上乗せして寄付します。
このようなマッチングギフト制度が、将来的に何か環境への取り組みを行うきっかけになればいいですね。
さらに、後述しますが、生活に困窮した方に食品を提供する「フードバンク」という取り組みも行ってします。これは、当社の「食」という根幹の事業に関わるものです。こういった社会貢献的な取り組みについては、常に事業と並列してさまざまなことを検討しています。
ウォームビズにも取り組んでいるそうですね。
ウォームビズは各個人が少し注意するといったレベルの活動ですが、ユニークなものとしてキユーピーオリジナルのひざ掛けがあります。
当社の各会議室に2枚ほどひざ掛けを用意しており、その使用を推奨しています。女性の従業員からはかなり好評ですね。
会議室やデスクには温度計・湿度計が設置されているのですが、これも冷房や暖房の設定の目安になります。場所によっては温度が高い、あるいは低いところもあります。そのため、遠くからでも見えるデジタルの大きな温度計を購入し、室内全体の温度のバランスを保つように注意しました。
先ほどお話に出てきた、「フードバンク」という取り組みについてお聞かせください。
「フードバンク」への取り組みへは、2007年からスタートしました。「セカンドハーベスト・ジャパン」というNPO法人が行っている活動に賛同し、ベビーフードなどの商品を寄贈しています。
賞味期限が近くなった商品や端数品など、中身は問題なく食べることができるのですが、店頭には並べられなくなった食品をメーカーなどから預かり、生活に困窮した方々に無償で提供するというのが「フードバンク」の活動です。
当社からは、パッケージの変更により時期外れとなった商品の寄贈が多いです。例えば、発売○周年とパッケージに印刷されているけれど、年度が変わってしまったために販売できなくなった商品などです。加工食品(調味料)からスタートしたのですが、今ではさまざまな商品の寄贈を行っており、4団体さんとお付き合いさせていただいております。
環境への取り組みに関する今後の方針についてお聞かせください。
今後当社が取り組むべき方向性として、2つ挙げることができます。
1つ目は、当社が企業活動を行ううえでどうしても環境に負荷をかけているわけですが、それをどうすれば減らせるかを追求することです。2つ目は、企業活動によって社会に付加価値を提供していくことです。
付加価値とは、具体的には省エネや廃棄物の削減などです。省エネであれば、設備投資をすることはもちろんですが、それに加えて現場の知恵や工夫を展開していくことにも注力していきます。
キユーピーグループでは、10年ほど前から「夢多゛採り(むだどり)活動」というものを実施しています。見てのとおり造語なのですが、“ムダを取ることで夢を多く採る”という意味が込められています。
これは、現場(工場)の作業の無駄を取り除き、生産効率や品質の向上を図るというコスト削減活動です。ネーミングには、大変なことではありますが、少しでも楽しんで取り組もうという意図もあります。
この「夢多゛採り活動」を進めていくうちに、もったいないというのも無駄を意味しており、環境への取り組みにつながるため、それも一緒に考えていくという内容に変わってきました。この活動をさらに展開していくのが今後の課題です。東日本大震災を経験し、社会的に省エネや節電への関心が高くなりました。従来の「夢多゛採り活動」では、ある程度の線引きをしていた部分(諦めていた部分)もあったのですが、そこをもう一歩踏み込んで取り組んでいかなければなりません。
環境に負荷をかけることなく企業活動を行うというのは残念ながら不可能です。例えば、商品の製造において電気を使わないわけにはいきませんから。そのため、別の形で社会や環境にお返しをするわけです。それが、前述のように資源を有効に活用する、廃棄物を削減するといった取り組みです。そのようなことが、最終的には社会全体への貢献にもつながるはずです。
柳橋様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。卵という食材を見直しました!
- それは「卵の殻を何かに使うことができないか」から始まった
- 卵には無駄なところなんてない
- 容器包装における工夫とリサイクル
- 食べきれずに捨てられてしまう野菜をなくしたい
- 環境負荷低減の追求と付加価値の提供