キリンビール株式会社

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キリンビールの環境の取り組み‐4つのテーマ

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キリンビール株式会社

環境の取り組みのシンボルキャラクターである、「エコジロー」のWebサイト(エコジローの冒険)がありますね。

1999年に、シンボルキャラクターの「エコジロー」が誕生しました。当時からも企業ブランドを考えるときに、環境に配慮していることが、価値を高める要素のひとつだと考えていました。

エコジロー

しかし、どうしても環境の話というと難しくなる傾向があり、しかも当時で環境問題に興味を持っていた人たちといえば、お母さんとお子さんという層が見えていました。分かりやすく環境のことを伝えていくためのひとつの方法として、ビールの泡からできた「エコジロー」というキャラクターを登場させたのです。

エコジローの冒険」という専用サイトを作ったり、絵本を製作したりと様々な展開を行ってきたことで一定の認知は獲得できたと思っています。

その後10年が経ち、省エネが当たり前になってきた現在では、シンボルキャラクターの役割も変わろうとしていると思っています。当社としては、シンボルキャラクターよりも事業自体や商品を通じて、どのように社会に関わっていくべきか、事業を通じて社会の問題解決にいかに貢献していくかを重視するように変わってきています。

シンボルキャラクターは森林保全活動のように、取り組みの“アイコン”として活用するなどこれまでとは役割を変えて活用していこうと思います。

環境への取り組みに関する今後の方針についてお聞かせください。

今年(2011年)の1月19日に、キリンビール事業方針のプレスリリースを出したのですが、7つある基本方針のなかでも大きな取り組みとして、「CSR視点による価値創造」を挙げることができます。

CSRというと環境以外でも様々な取り組みがあるわけですが、当社の特徴的なものに世界初アルコール0.00%飲料の「キリン フリー」の活動があります。「キリン フリー」では、ノンアルコール・ビールテイスト飲料として、飲酒運転の防止やアルコールを飲まない「ハンドルキーパー運動(※)」の応援をさせていただいております。

※ハンドルキーパー運動=飲食店などに自動車で来て飲酒する場合に、仲間のなかからお酒を飲まない人(ハンドルキーパー)を決め、その人が飲酒した仲間を安全に自宅まで送るという、飲酒運転事故を防止する運動のこと。

キリン フリー

それと合わせて、環境面でもお客様に当社の製品の価値が伝わるような取り組みを生み出していきたいと考えています。例えば、当社では製造・物流・オフィスにおいて、1990年比でCO2の排出量を60%削減するということを、2012年までの目標として掲げています。

今後、製造・物流・オフィスにおける環境への取り組みを進めていくに当たって、バリューチェーン(※)という視点、つまりは原料採取の部分から廃棄までを含めた全体的な観点から、キリンビールと当社のパートナーとなる方々が一緒に、いかにCO2の排出量を削減するかということが重要になってくると思います。当社だけで努力したとしても、社会全体のCO2が減らなければ意味がありません。

※バリューチェーン=製品が消費者に届くまでの企業活動(開発・原材料調達・生産・物流・販売など)を、価値(Value)を生み出す連鎖(Chain)として捉えること。要は、利益を生むまでの業務活動の連鎖を意味する。

飲料業界では製造・物流・オフィスにおけるCO2の排出量の割合はそれほど大きいわけではなく、缶などの資材・資源を調達する領域や販売のほうが大きいと考えられます。全体を見渡して、今後どのような部分に注力していくと効果が高いかを考えながら、バリューチェーンという視点から環境への取り組みを進めていきたいですね。

これだけは話しておきたいということはありますか。

当社のような食品産業は家電や自動車を製造する企業とは異なり、お客様のお手元では環境負荷がほとんど発生しないという特徴があります。そのために、環境機能で差別化したりマーケティングと一体になったりしにくく、お客様に環境の価値を上手く伝えることが難しいわけと考えられてきました。しかし、今後はそうではなく、お客様に価値を実感していただけるような製品の開発や、コミュニケーションの構築を図っていきたいと考えています。

山村様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。環境負荷低減のため、びんや缶にこれだけの工夫がなされているのにはびっくりしました。


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