「根室自然環境保全区」の活動についてお聞かせください。
2007年7月13日に、明治乳業では「財団法人 日本野鳥の会」さんと野鳥保護に関する協定を結んでいます。
明治乳業では、1939年に牧の内という土地に「明治乳業根室牧場」を創業しました。そして、第二次大戦下で牧場の牛を隠すための場所(疎開地)が必要となり、1944年には槍昔の土地を購入しました。当時はほとんど人が足を踏み入れることのない場所でしたが、約60年もの長い間、自然環境の保護に努めてきました。
2007年6月に、明治乳業創業90周年記念として、牧の内と槍昔を合わせて「根室自然環境保全区」を設立し、前述のように、翌月に日本野鳥の会さんと協定の締結となったわけです。そして、広くアピールするためにはどうすべきか、試行錯誤を重ねてきました。
根室は観光客があまり訪れないところであり、知床などのように知名度が高くはありませんでした。そこで、牧の内保全区に野鳥を観察するためのWebカメラを設置し、当社の「根室自然環境保全区」専用ページからリアルタイムで視聴可能にしたのです。Webカメラは野鳥を数多く見ることができる槍昔保全区内にある風蓮湖の周辺に配置したかったのですが、残念ながら電源確保の関係で実現することができませんでした。
根室は冬場に渡り鳥が数多く飛来する土地ということもあり、野鳥の会さんでは様々なイベントを実施しています。そのようなイベントなどに、当社が協賛という形で参加させていただいておりますが、当社の根室工場の従業員も積極的にイベントに応援として参加して、いい経験になっているのではないかと思います。
また、昨年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の野鳥の会さんのブースでは、「根室自然環境保全区」の活動を取り上げていただきました。そのような意味では、野鳥の会さんとの結びつきは非常に強いものとなっています。なお、当時は野鳥の会さんと協定する企業は珍しく、当社が初めてのケースでした。
知名度の高い「明治」というブランドを十分に活用して、このような社会貢献的、環境貢献的な活動をもっと多くの方に知っていただきたいですね。
環境への取り組みについて、今後どのように進めていくのかをお聞かせください。
自然の恵みが事業基盤である明治グループでは、環境保全は重要な経営課題のひとつとして掲げられています。そのため、当然ですが今後はグループ内再編を機に、制定された「環境理念」や「環境方針」に基づいて取り組みを進めていくことになります。
CO2排出量の削減や廃棄物の削減により、コストダウンが実現できます。企業として利益を挙げることはもちろんですが、今後は製品1個における環境負荷をいかに減らしていくかといった側面にも向き合っていくことが必要です。
なお、当社の乳製品工場では年間3%、10年で30%のCO2排出量を削減するという目標を立てています。国では25%削減を掲げていますが、2017年に明治乳業として創立100周年(※創業は1917年)を迎えることあり、国の政策よりも進めて「2017年までにCO2排出原単位30%削減」という目標を掲げたわけです。まずは、この目標の達成に向けて取り組みを進めていきたいですね。
宮川様 明石様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。「アグロフォレストリーチョコレート」のラインナップが増えることを願っています。
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