ミサワホーム株式会社

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新たな概念を盛り込んだ環境活動計画-「SUSTAINABLE2015」

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ミサワホーム株式会社

資源の有効活用という部分で、リサイクル素材の「M-Wood」というものがありますが、こちらについてお聞かせください。

「M-Wood」自体の歴史は古く、誕生してから20年以上になります。

当社は木質系工業化住宅を中心に事業を行っており、工場で木のパネルを生産しています。パネルを生産する際には、おがくずが出てしまいます。以前からおがくずは工場のボイラーの燃料として利用されていましたが、ほかにも利用することができないかと開発担当者が社内で考えました。

そこでおがくずをパウダー状に加工し(※微粉化技術)、それを樹脂と混ぜることで「ペレット」というものを作り、それに着色して、熱したあとノズルから押し出し成型を行ったところ、手触りが木と同じで木目もある、プラスチックと同様に腐ることはない、容易に加工ができるという新しい素材を独自開発することに成功しました。これが、「M-Wood」です。

M-Wood

当社では「M-Wood」を建物の造作材や窓枠、ドアなどのインテリアに利用することを開始し、先述した環境計画のなかでもその使用率を高めることを提唱してきました。しかし、残念ながらここ数年は使用率が伸び悩んでいる状態です。当社で販売している建物でも標準で使用されていますが、使用率を2倍から3倍に伸ばすことは難しいでしょう。ただし、リサイクル素材として今後も活用を続けていく予定です。

一部ですがOEMとして、建材メーカーの手すりなどにも採用されています。最近では、JRの駅の階段の手すりとして利用されているのを見かけますね。

「M-Wood」をさらに進化させた「M-Wood2」という素材もあります。「M-Wood」は先述したようにインテリアの造作材などとして利用するためにきれいな色をつけたいということで、工場で発生するおがくずと新しいプラスチックを使っています。木材はリサイクルのもの、プラスチックは新品のものを半分ずつ利用するので、リサイクル率は50%ほどとなります。しかし、できるだけリサイクル率100%の素材を“創りたい”ということで、建設廃材や廃プラスチックに注目しました。そこから誕生したのが、「M-Wood2」という素材なのです。

M-Wood2

「M-Wood2」は見た目や手触りが木と同様で、耐水性や耐候性にも優れているのですが、建設廃材や廃プラスチックを利用しているため、「M-Wood」のようにカラーバリエーションを増やすことができません。そのため、インテリアよりもデッキやフェンス、パーゴラ(※)などのエクステリアとして利用されています。

※テラスの上部に組む棚のこと。

「M-Wood2」は住宅だけではなく、中部国際空港の展望デッキや、愛知万博の空中回廊「グローバルループ」の中央部と西エントランスなどにも採用されています。また、公共工事などにも利用されており、「M-Wood」よりも使用率を伸ばせる余地はまだあるのではないかと考えています。

「M-Wood」や「M-Wood2」は、手触りや見た目が木と同じということですが、強度はどうなのですか。

押し出し成型で製造していることもあり、様々な肉厚や形状に加工できます。圧縮や耐荷重性は使用目的によって調整するので、強度的な問題はほとんどありません。それよりも重視しているのは、加工性と手触り感といえるでしょう。

いずれも半分は木材を使っているため水分を吸収しますが、濡れてもしっかりと乾き、変色や腐朽(ふきゅう)することはないという点で、各方面から高い評価をいただいております。コストの面では、正直なところ素材としての単価で考えるとまだ高額だといえるでしょう。しかし、成型の際に中空にするといった色々な工夫を施すことで、主にウッドデッキとして使用されている南洋材と変わらない価格を維持しています。

環境配慮素材として、「ニューセラミック外壁」というものもありますね。

ミサワホームでは、主力の木質パネル接着工法のほかに鉄骨系ユニット工法を持っています。ミサワホームの販売比率では、木質パネル接着工法と鉄骨系ユニット工法の割合は9:1となり、木質のほうが多くなっています。

ニューセラミック外壁

鉄骨系ユニット工法を採用した商品が、「HYBRID(ハイブリッド)」シリーズです。重量鉄骨を使ったユニット工法であり、独自開発の高性能・高品質のセラミック板(PALC/Precastable Autoclaved Lightweight Ceramic)を外壁に使います。

これは、ALC(※特殊コンクリートの一種)に近い素材であり、内部に鉄筋を入れて補強しています。鉄筋は周囲を構成する主筋に加えて、骨格となる配筋(ダブルメッシュ配筋)からなります。この配筋は防錆処理(モルタル防錆加工)されており、そこにニューセラミックの原料を液状にして流し込み、型により表面のテクスチャーを施し、それを窯(かま)のなかで高温(摂氏180℃・10気圧)により20数時間かけて蒸気養生します。その後、12時間ほどかけて強制乾燥させ、含水率を13%以下に調整します。最後に内側に二重に、外側は三重に塗装を行い、耐久性・耐水性に優れた外壁が誕生します。

このニューセラミック外壁は、環境配慮素材として開発されたというよりも、結果的にそうなったといったほうが正しいかもしれません。製造するときに用いられる原材料が、石灰石と珪砂という日本の土壌に無尽蔵にあるため、枯渇する心配がありません。環境負荷が少なく入手しやすい素材であるという点、そしてセメント系であるため木材のように製造過程で端材を出すことなく、回収後に粉末状にして再度製造できるリサイクル素材という点が大きな特徴です。

「M-Wood」や「M-Wood2」、「ニューセラミック外壁」は、自社工場で生産しているという点が大きな特徴です。原材料にもこだわり、素材まで自社で作り込んでいる住宅メーカーは、ほかにはないといえるでしょう。

従来のプレハブ住宅の場合、同じ部材を大量に作り込んで倉庫内にストックしていましたが、20年ほど前(※2011年7月現在)から改善されています。現在は完全邸別生産となっており、ストックもなく、無駄な製造もなくなりました。そのような意味でも、環境に配慮しているといえるでしょう。


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