今回の「エコなニュース」は、ティッシュペーパーやトイレットロールの「nepia(ネピア)」でおなじみの王子製紙グループ様の取り組みをご紹介。
王子製紙グループ様では、海外植林や国内社有林の活用、独自の「環境行動目標2015」の設定など、数多くの取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。
- 環境経営本部
本部長
兼 環境経営部長
八重樫勇様
- 環境経営本部
環境経営部
環境経営推進室長
兼 地球温暖化 対策室長
田中良正様
早速ですが、よろしくお願いいたします。
環境に関する取り組みを始めたきっかけをお聞かせください。
当社はかつて、戦後の1949年の財閥を解体するための「過度経済力集中排除法」により、苫小牧製紙(後の王子製紙)・本州製紙・十條製紙(後の日本製紙)という3社に分かれたのですが、1996年に当社(当時は新王子製紙)と本州製紙が合併し、「王子製紙株式会社」が誕生しました。
1996年の王子製紙として再出発を機に、創業以来の基本理念に基づいて「環境問題を最重要課題」と明確に位置付け、環境対策の一層の強化を目的とした「王子製紙環境憲章」を1997年に策定し、環境憲章の理念を達成するため「環境行動計画21」という具体的な目標を立てました。このことが、合併後の統一化した環境への取り組みのきっかけといえます。
この「環境行動計画21」が、現在(※2012年1月現在)の「環境行動目標2015」に受け継がれています。「環境行動計画21」は2010年度までの目標を定めたものですが、早期に目標を達成したものや時代に応じて目標値を変更するなどの対応をしてきました。その目標年度の終了とともに、新たに具体的な目標として「環境行動目標2015」を策定しました。
「環境行動目標2015」では、どのような目標を定めているのですか。
「環境行動目標2015」では次の8つの項目において、それぞれの目標を立てています。
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【1】森のリサイクル推進
●海外植林地の面積を30万ヘクタールにするとともに全植林地での森林認証の取得を目指す。
●国内社有林(19万ヘクタール)で間伐などによる保全・管理を確実に実施する。
●国内外で所有・管理する森林を有効に無駄なく活用して、総合林産業を目指す。
【2】紙のリサイクル推進
●資源として古紙の利用を推進する(古紙利用率64%が目標)。
【3】地球温暖化対策の推進
●1990年度比で、エネルギー起源CO2排出量を35%削減、温室効果ガス排出量を15%削減する。
●森林保全・管理によるCO2吸収量の拡大を推進する。
【4】環境負荷の小さい生産技術と製品の開発
●製品の安全性について法令および各種自主基準に対する適切な管理を推進する。
●国際的な森林認証であるFSC認証製品や日本の森林認証であるSGEC(エスジェック)認証製品の供給体制の構築を推進する。
●省資源・CO2削減に貢献する新製品の開発を進める。
【5】環境改善対策・環境管理体制の強化
●環境マネジメントシステム(EMS)の認証取得および維持を通じて、自主的な環境管理体制の構築を推進する(EMS取得150工場が目標)。
【6】廃棄物の低減と有効利用の推進
●廃棄物最終処分量の総量を5万トン(水分含む)/年以下とする。
(※対象企業は大規模製紙系会社・王子製紙・王子板紙・王子特殊紙・王子ネピア)
【7】環境対策技術の海外移転推進
●当該国の環境基準を遵守するとともに、国内で培った環境管理技術を展開する。
【8】ステークホルダーとの信頼関係の構築
●地域社会に根差した社会貢献活動を推進する。
●展示会や発行物などを通じてステークホルダーとのコミュニケーションを推進する。
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これらが、2015年に向けた具体的な目標です。
- 2015年度に向けた環境に関する目標「環境行動目標2015」
- 海外植林は原料調達のみでなく地球環境保全にもつながる
- 約700ケ所の国内社有林を保全
- リサイクルのために紙の分別はしっかりと
- 環境に配慮した事業を展開する王子製紙グループ