貴社の環境配慮型製品には、どのようなものがあるのですか。
王子製紙グループの代表的な環境配慮型製品として、ティッシュペーパーやトイレットロールの「nepia(ネピア)」を挙げることができます。「nepia」は国際的な森林認証である「FSC認証」を取得した製品で、適切な管理が行われている森林の原材料を使用しています。
FSC認証は、【1】森林を適切に管理し、【2】地域の社会活動や経済活動に貢献し、【3】流通・加工段階でも認証された木材が使用されたことを独立した第三者機関が認証するものです。言い換えれば、森林保有者や木材の流通・加工業者、製品利用者が一体となって森林を保全していると証明といえます。このような取り組みを多くの方々に理解を深めていただきたいとの思いもあり、昨年(2011年)9月に「nepia」をリニューアルし、FSC認証製品として販売を開始しました。
また、FSC認証製品というだけでなく、パッケージ内部の取り出し口に使われているフィルムには生分解性の材料を採用するなど、昨年販売された製品のなかでは“イチオシ”といえます。
「DIET BOX」という、省資源という形で環境に配慮した製品もあります。これは、段ボール箱の一部をカットし、商品に合わせた形状にすることで胴膨れが発生しにくい、あるいは胴膨れ量が小さくなるように工夫したものです。面取りによって持ちやすく、強度も維持され、美観も向上しているということで、「公益社団法人 日本包装技術協会」が主催する「2010年日本パッケージングコンテスト」では会長賞を受賞しています。
従来はロボットなど重いものについては、スチールや木材などで梱包して運搬していましたが、強度のある重量包装の段ボールを開発し、梱包材の軽量化を実現しました。これにより輸送効率が改善され、輸送時のCO2排出量の削減にも貢献しています。
王子製紙グループでは、紙以外の製品も開発しています。例えば、包装材料であったポリプロピレンフィルムを応用して、ハイブリッドカーや新幹線などのコンデンサー用部品として利用されるフィルムを開発しています。ハイブリッドカーや新幹線などの部品として支えることで、間接的に環境に貢献しています。
従来はごみとなっていた剥離紙(※セパやセパレーターと呼ばれる)がない粘着ラベルを開発することで、廃棄物削減にも貢献しています。一般的なラベル(シール)は剥離紙(台紙)から剥がして貼りつけるのですが、その紙は捨てる以外にありませんでした。しかし、剥離紙のない粘着ラベルでは、剥離処理をラベルの表面に施すことで台紙が不要になり、廃棄物を削減することができます。
少し変わったものでは、バンダナの形をした涼感剤があります。首に巻くと、暑い夏でもひんやりとした感覚が持続し、冷房の設定温度を下げるなどの省エネルギーにも貢献します。節電が求められた昨年(2011年)の夏などに、とても役に立つ製品です。高分子吸水性ポリマーを原料にしたハイドロゲルを使った製品で、水分を吸収して気化すると冷える性質を利用しています。
太陽電池の部品として利用されている、ガラス繊維の不織布(ふしょくふ)の「ガラスペーパー」という製品も開発しています。不燃性・腐食性・耐傷性を兼ね備えており、低炭素社会の実現に向けた太陽光発電の普及に貢献しています。
このように、王子製紙グループでは自動車や工業、医療の分野などさまざまな分社へ環境配慮型製品を提供しています。
環境への取り組みに関する今後の方針についてお聞かせください。
「環境行動目標2015」に定めた目標の達成に向けて、今後も取り組んでいきます。環境への取り組みは地道に行うことに加え、政策や法律の改正などの社会的な変化に柔軟に対応していくことが必要です。
また、製品におけるPL(製造物責任/Product Liability)リスクについてしっかりと管理し、問題が発生しないようにしなければなりません。当社では各地に大規模な工場を有していますが、さまざまな薬品を使うので、薬品の安全性確認や環境に負担をかけないような管理・処理に細心の注意を払い、引き続き取り組んでいきます。
そして、最も重要だと考えているのは、このような環境に関する取り組みやその結果について、正しい情報を皆さまにお伝えしていくことです。
王子製紙グループは環境などの情報を公開しているWebサイトを設けたり、CSR・環境に関する報告書などを発行したり、環境講演を行ったりしていますが、今後も信頼される企業を目指して努力を続けていきます。
八重樫様 田中様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。良質な紙に生まれ変わらせるためにも、私たちが古紙をしっかり分別して捨てることが大事ですね。
- 2015年度に向けた環境に関する目標「環境行動目標2015」
- 海外植林は原料調達のみでなく地球環境保全にもつながる
- 約700ケ所の国内社有林を保全
- リサイクルのために紙の分別はしっかりと
- 環境に配慮した事業を展開する王子製紙グループ