<ブラビア>などの代表的な製品では、どのような点で環境に配慮がなされているのでしょうか。また、製品使用時にCO2が排出されるとのことでしたが、貴社製品がこれだけ市場のシェアを確保しているなか、CO2の排出の問題とのバランスをどのように取っていくのでしょうか。
どちらの質問に関しても、答えは「省エネ」ということになります。特にテレビの場合は、この省エネがフォーカスされています。
当社のプロダクト・製品カテゴリーのなかでも、テレビというのは一番環境に負荷をかけている機器であり、それに対する取り組みを一番の柱としております。
これまでも様々な取り組みを社内では行ってきましたが、今年6月に<ブラビア>JE1シリーズという環境配慮型液晶テレビを、環境への大規模な取り組みの第一弾として発表させていただきました。今後もさらに進めていく予定です。製品のスペックを上げつつも、一番に環境負荷を減らさなければならないというというのは、非常にチャレンジングな取り組みであるといえるでしょう。
リサイクル面での取り組みは、何かありますか。
リサイクルに関しては、法律で定められているものとそうでないものがあります。日本においては、「家電リサイクル法」に基づき、メーカー側への責務である適切なリサイクル行為を実行しております。そのために名古屋市に「グリーンサイクル株式会社」というリサイクル工場を設立し、ここでテレビやPCのリサイクルを行っています。
ヨーロッパでは「WEEE=Waste Electrical & Electronic Equipment directive(廃電気・電子リサイクル指令)」という法律により、2002年12月に他社と共同で「ヨーロピアン・リサイクリング・プラットフォーム(ERP)」を結成して対応しております。各国別にリサイクルのスキームを構築し、生産者に代わってリサイクルを請け負う組織と協力しながら、各国法の要求に応じた回収・リサイクルを実施しています。
米国でのリサイクルについては、各州法に基づいたリサイクルを行っていることに加えて、ソニーの自主的な取り組みとして、ウェイストマネジメント社と協力し、2007年9月から”The Sony Take Back Recycling Program”を導入しています。これは、指定回収センターで全てのソニー製品を無料で回収を受け付けるというものです。
製品の包装についても、環境に配慮なさっているのですか。
包装の箱・緩衝材に再生紙を使っています。ただ大型テレビなど製品が大きい場合、紙では重くなってしまうため、製品輸送時のCO2排出量の増加が懸念されます。そのように環境負荷が高くなる場合は発泡スチロールを使用しています。また包装をスリム化するなどにより、製品輸送時のCO2排出量を抑えています。
また<ブラビア>では、液晶パネルを運ぶときに緩衝材として使う部品包装用の発泡スチロールを、再生プラスチックとして筐体に再利用しています。また、昔のブラウン管テレビの部品や液晶テレビのパネルモジュールを構成する光学シートを、<ブラビア>JE1シリーズの筐体に再利用しています。このような形で省資源化やリサイクルを行っています。
「エコプロダクツ2007」でブースに展示されていた有機ELディスプレイの製品ですが、これはどのように環境への配慮がなされているのですか。
有機ELテレビ「XEL-1」は、薄くシンプルな構造により部品数が少ないということで省資源、かつ省エネ化が期待できます。液晶ディスプレイというのはバックライトで黒い部分を光らせるのですが、有機ELディスプレイでは有機材料が自ら発光するため、バックライトが不要になります。これにより、最薄部3mmというディスプレイを実現しています。また、バックライトで使われていた電力の節約にもなるのです。
有機ELテレビ「XEL-1」のディスプレイは11型ですが、さらに大きくなるのですか。
現在、ディスプレイを大きくした製品の開発に向けてがんばっています。ショーやイベントなどでは、プロトタイプとして27V型のものが使われていますが、こちらはまだ商品化はされていません。
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