エス・バイ・エル株式会社

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木造住宅へのこだわりが環境への取り組みのスタート

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エス・バイ・エル株式会社

環境ビジョンの「CO2ゼロ宣言」の内容に「X:PS(バイパス)プロジェクト」というものがありますが、これはどのようなプロジェクトなのですか。

「X:PS(バイパス)プロジェクト」というのは、生産効率と品質向上などを目的として、建材や資材の段階から住宅が完成するまで、製造や物流についてトータルで見直していこうというもので、これには、工場のなかにおける廃棄物ゼロなどの取り組みも含まれます。

当社では2007年度よりこの「X:PSプロジェクト」に取り組んでいるのですが、プロジェクトを立ち上げる以前はトータルというよりも、工場や工事現場などのポイントごとに環境負荷低減の努力をしていました。

各工場や工事現場でもごみをなくすというような努力をしていたのですが、工場で積極的に取り組んでみても、別の工場や工事現場にしわ寄せがくるというように、バランスに問題がありました。そこで、全体的な視点で考えていこうということでスタートしたのです。

「X:PSプロジェクト」を実施してからは、各工場のごみの削減もそうなのですが、環境負荷低減にかなりの効果がありました。例えば、「工事現場作業前の工場でのプレカット化」を計画し、工事現場での端材を減らして環境面への配慮をしています。

また、2009年度は「土台のプレカット」を実施しました。これにより工事現場での長さカットや穴を開けることが不要となり、端材やごみの散乱がなくなりました。

さらに、工場では従来、同じ部材を大量に必要とすることもあって、工場で「ロット生産」を行っていました。部材ごとにまとまった量を生産して、倉庫に保管しておき、そこから必要な分だけをピックアップしていくというわけです。

「X:PSプロジェクト」では、その「ロット生産」から、オーナー様専用の住宅資材を1邸ごとに製造する「邸別生産方式」に変更しました。本生産方式の導入は、工場生産率を高めて余分なものを製造しないことや住宅部材の過剰生産の防止にもつながり、より貴重な自然資源の保護に役立つとともに、省エネルギー化を推進しています。また、住宅建設に伴い排出されるCO2の削減にも貢献します。

邸別生産方式の図

CO2という観点でいえば、輸送で使用するトラックの台数はかなり減ってきています。工場でトラックに部材を積んで、工事現場で大工さんが荷台から降ろすわけですが、工事現場で最初に必要となるものが一番上にくるように積む順番を工夫し、かつ荷姿を検討して、1棟当たりの構造部材を輸送するトラック台数を、6台から5台に減らすことができました。

当社全体で排出する割合からすると、物流というのはそれほど大きくはないのですが、この取り組みでもCO2削減に貢献しています。

これこそ、従来のように工場や工事現場などのポイントだけで環境負荷低減を考えていたのでは実現することは難しく、トータルで考えなければ分からなかったことだといえるでしょう。

「X:PS」という名称は、道路(迂回路)を意味するバイパスに由来するのですか。

「X:PS」という名称は、SxLの「X(バイ)」と「Profit System」とを掛け合わせた造語です。当社の工場(※つくば工場・山口工場)と工事現場にトヨタ生産方式を導入し、X(バイ=乗じる)の発想で、Profit(利益)を生むSystem(仕組み)のことで、いわば「エス・バイ・エル生産方式」です。また、バイパスには「澱(よど)みなく流れる」という意味も込められています。


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