環境の取り組みの今後の方針についてお聞かせください。
基本的には、先述した「LCM」による環境経営を強く押し出していく必要があると考えています。化学メーカーや素材メーカーというのは、環境への貢献を表しにくい業種であり、製品を製造しているという部分ではCO2を排出する側に立っているわけです。そのような企業として、東レは製品や技術に対してライフサイクル全体で地球温暖化対策を考えていかなければなりません。
その部分を多くの方々に分かってもらうためにも、環境負荷の低減と持続的成長を目指す、「LCM」による環境経営を積極的にアピールしていきます。
そのための具体的な数値目標が、2020年近傍のビジョンとして掲げる“CO2削減貢献量2億トン以上”と“グリーンイノベーション製品の売上高1兆円”というわけです。2億トンの削減は東レだけではなく、当社の製品を購入していただいたお客様の使用時の削減効果も含まれています。
そういう意味では、「LCM」による環境経営で貢献するという、今後の環境への取り組みの方針に変更はないといえるでしょう。先述した長期経営ビジョンの「AP-Growth TORAY 2020」や、中期経営課題の「プロジェクト AP-G 2013」は今年度(※2011年現在)からスタートした新しい戦略であり、それらに沿って取り組みを進めていくことになります。
特に、「プロジェクト AP-G 2013」で中心となるのが「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」と「アジア・新興国事業拡大(AE)プロジェクト」、「トータルコスト競争力強化(TC-II)プロジェクト」の3本柱です。「プロジェクト AP-G 2013」では従来の「エコチャレンジ(※)」をさらに拡大・発展させ、「グリーンイノベーション(GR)事業」を最重要課題とし、今後注目が高まる地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決に資する製品や技術の拡大を強力に展開するべく、「グリーンイノベーション事業拡大プロジェクト」を立ち上げ、社長がリーダーとなり、全社で取り組んでいます。是非とも、今後の東レの環境への取り組みに注目していただければと思います。
※2007年度より推進してきた、持続可能な低炭素社会実現に向けて、省資源・地球環境保護に先進的に取り組む東レグループの活動の総称。
南様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。「TEEWAVE AR1」の流線形のデザインはかっこいいですね!
- 2020年近傍で達成すべき2つのビジョン
- 環境負荷低減と持続的成長を目指す-「LCM」環境経営
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- 「AP-Growth TORAY 2020」の下でグリーンイノベーション事業を拡大