「環境ビジョン2050」では「ファクター」という言葉が登場しますが、これは何を意味するのですか。
2050年の定量的な目標値として「ファクター10」というものを掲げています。「ファクター」とは世界全体の「環境効率の改善度」のことであり、2050年にはファクターをどれだけ上げる必要があるのかについて、いくつかの社会的な予測値を基に推測しています。ファクターは環境影響を分母、環境価値を分子とする分数で表すことができます。
CO2排出量が増えると地球温暖化が進行していくので、世界全体の共通目標としてCO2排出量を半減させなければなりません。そのため、人類が発生させている環境影響(CO2)を2分の1にすると考えます。
増大を続ける世界の人口は現在(※2012年1月現在)70億人に到達しており、さらに2050年には90億人になると予想されています。2000年の時点ですでに世界の人口は60億人であり、2050年にはその1.5倍に増えるわけです。現在と2050年のCO2排出量の総量を同じにするためには、一人ひとりが発生させている環境影響を今の1.5分の1に減らす必要があります。
そして、今後途上国が経済発展していくなかで、2000年のGDP(国内総生産)を「1」とした場合、2050年には5.2倍に成長し、1人当たりで割ると3.4倍になると予想されています。
これらの値を掛け算すると「3.4×1.5×2=10倍」となり、2050年までに必要な世界全体の環境効率の改善度、つまりファクターが10と算出されます。そこで、東芝グループとして、2000年を「1」としたときに、2050年にはその「10倍」に環境効率を高めていこうというのが、「ファクター10」という目標なのです。
次のグラフを見てください。横軸に年度、縦軸にファクターを示しており、前述のようにファクターは環境影響を分母、環境価値を分子として表します。
2050年のあるべき姿からバックキャスティングすると、2025年にはファクター5を達成しなければなりません。そして、2000年をファクター1と考えたときに、2025年のファクター5を実現するために目標をフォアキャステングすると、2012年までにファクター2.3を達成する必要があります。
2012年までにファクター2.3を達成するというお話でしたが、進捗(しんちょく)状況はどうなのですか。
製品の環境効率と事業プロセスにおける環境効率という、2つの側面からファクターを算出しているのですが、2010年度の目標(総合環境効率)2に対し、実績は2.26を達成しています。2011年度の目標である2.16も達成の見込みであり、最終年度の2012年に向けて取り組みを強化していきます。
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