TOTO株式会社

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創業100周年を見据えた「TOTO GREEN CHALLENGE」

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TOTO株式会社

今回の「エコなニュース」は、節水性能の高いウォシュレット一体形便器「ネオレスト」などでおなじみのTOTO株式会社様の取り組みをご紹介。

TOTO株式会社様では、「TOTO GREEN CHALLENGE」や「トイレバイク ネオ」など、数多くの取り組みをなさっているようです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。

ESG推進部 環境情報企画グループ 企画主査 冨岡千花子様

早速ですが、よろしくお願いいたします。

環境に関する取り組みを始めたきっかけをお聞かせください。

現在(※2012年2月現在)、TOTOが掲げている環境ビジョンが「TOTO GREEN CHALLENGE」です。2010年4月に、この「TOTO GREEN CHALLENGE」を発表しました。

もちろん、それ以前から当社では積極的に節水や省エネに取り組んでおり、住宅設備機器メーカーということもあって、工場や事業所でも環境活動を行っていました。

それでは、なぜこの時期に「TOTO GREEN CHALLENGE」を策定したのかと思う方もいることでしょう。その大きな理由として、5年後の2017年にTOTOが創業100周年という節目を迎えるというのが挙げられます。

創業100周年を目前にして社会的にも環境問題が注目されているなかで、従来からの環境活動をスパイラルアップさせる、あるいはより加速させるという意味で、2010年4月に「TOTO GREEN CHALLENGE」という環境ビジョンを策定したわけです。このなかで、お客さまに対しても具体的な目標値を明確に示したうえで、その実現に向けて活動を進めています。

ビジョン策定当時は政府でも、1990年と比較して温室効果ガスを25%削減していく「チャレンジ25キャンペーン」を推進していました。温室効果ガスの25%削減に向けて、家庭や事業所、工場などではCO2排出量を減らしていこうという意識が高まり、現在もそれは継続しています。

そのなかで、主にトイレ・キッチン・浴室・洗面台など、水まわりの住宅設備機器を製造しているTOTOでは、家庭部門でのCO2排出量が減らないという点を従来から問題視していました。CO2排出量を減らさなければならないのに、むしろ増えているという状況だったからです。

社会全体で、日常生活におけるCO2排出量の最大の要素は何かと考えたとき、最初に注目されたのが自動車の排ガスで、それを減らすためにエコカー減税がスタートしたわけです。次が家電であり、そこから家電エコポイントの実施という流れになりました。

このような動きから、住宅から発生するCO2というのは、主に自動車と家電が占めているといったイメージがあるかもしれませんが、実は水まわりから発生するCO2も全体の約22%という意外に高い割合を占めています(※)。多くの方々はこの事実をご存知なく、その理由として自動車や家電とは違い、水まわりというのは直接家庭からCO2を発生する場所ではない点が挙げられるでしょう。

※「独立行政法人 国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス」の『日本の温室ガス排出量データ(2009年度)』を基にTOTOが試算。

実は、浄水場や下水処理場では水をくみ上げる、浄水場で水を浄化する、ポンプを動かして各家庭に水を運ぶ、下水処理場で下水を処理する際などに電力を利用します。そのため、家庭で使う水が増えれば、必要とされる電力も増えるわけです。

そこで、間接的ではありますが、節水によって家庭由来のCO2排出量の削減への貢献を目指したわけです。水まわり商品を製造しているTOTOでは、非常に大きな責任を担っており、お客さまに当社の取り組みを広く知ってもらうことと、環境に配慮した商品を提供することで、確実にCO2排出量を削減できる企業としての努力をしっかりと継続していきたいという思いがあります。

「TOTO GREEN CHALLENGE」では「商品・サービス」「ものづくり」「社会貢献」そしてそれを支える「ひとづくり」という4つのテーマを設けています。

「商品・サービス」では、主力商品の使用時におけるCO2排出量を、1990年度と比較して、2017年までに50%以上削減することを目指します。

当社には「ハイドロテクト」という光触媒技術を応用した住宅の外壁塗料、タイル等の環境建材商品もあります。主に、雨により外壁の汚れを流す「セルフクリーニング効果」と、活性酸素により空気をきれいにする「空気浄化効果(※NOx除去=窒素酸化物除去)」があるのですが、その技術をグローバル規模で普及させ、環境汚染を抑制することも「商品・サービス」における目標にしています。これについての詳細は、後述します。

「ものづくり」においては、国内の事業活動において1990年度と比較してCO2排出量を45%削減、海外では原単位で年間2%削減するという目標を立てています。設定した目標に対しては、毎年どれだけ達成できたのかを確認・推進しています。

「社会貢献」では、生物多様性の視点から、社会と関わる環境活動を推進することを述べています。

以上の「商品・サービス」「ものづくり」「社会貢献」の3つが当社の大きな軸となるわけですが、それを進めるには、まずは人材の育成が重要となります。そこで「ひとづくり」では「TOTO GREEN CHALLENGE」の実現に向けた活動を通じ、高い環境意識を有する人材を育成することを目標としています。実は、ここで述べている“ひと”とは、当社の社員だけではなく、お客さまも意味しています。

一般に、トイレやキッチンなどの水まわり商品というのは、20年から30年ほどの耐久年数があるので、一度購入すればしばらく買い換える機会がないと思います。そうなると、お客さまの側でどれだけ節水に貢献できる商品の選択や購入をするか、エコにつながる使い方をするかという点がとても重要になります。そのような意味で、TOTOと一緒にお客さまも環境意識を高めていただけるような企業になることを目指しています。


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