これだけは話しておきたいということはありますか。
昨年(2011年)は東日本大震災の影響で、節電が注目されました。そこで、お客さまに「気付き」を与える意味で、当社では『節水で節電。』という提案を昨年より実施しています。
東日本大震災を経験し、多くの方々が個人のためではなく、社会全体のために何ができるのかを意識するなかで、TOTOができるのは何かと模索した結果、『節水で節電。』というひとつの活動につながりました。
前述のとおり、水を利用するときには電気が使われており、家庭で節水することが、実は社会全体の電力消費を減らすために貢献できるということを紹介しています。社会的に節電への関心が高まるなかで、ひとつの切り口として提案しているわけです。そこでは、1カ月でどれくらい節水すれば、テレビを毎日何時間つけている分の消費電力に相当するのかというように、分かりやすく説明しています。
節水すれば節電につながることを紹介するだけでは「へえ、そうなんだ」で終わってしまいます。どれくらいの効果につながるのかを知りたいですよね。実は、リットルをキロワットアワーに換算した数値がなかったので、当社で蓄積したデータを基に導き出しました。しかし、何キロワットアワーといっても具体的にイメージするのは難しいといえるでしょう。
そこで、多くの方々が普段行っているのは何かを考えたとき、テレビのつけっ放しをしないことが叫ばれていた時期だったので、テレビの消費電力と比較したらどうだろうとなりました。
ちょっと意識した行動が大きな効果を生み、それが社会貢献につながるすごい取り組みだという内容を、引き続き伝えていきたいですね。CO2よりも節電の方が日常生活で身近に感じることもあり、節水が節電につながるのを知ったお客さまからは、これから努力しますというような声を数多くいただきます。
「我慢」という言葉をあまり使いたくはないのですが、何かを減らすということを習慣にしなければ、強制や苦痛という意識が生まれて長続きしないと思います。夏場はエアコンを長めに使用するかわりに節水の努力をするという選択肢を、お客さまの意識のなかに持っていただければという思いがあり、節水でどのくらい節電に貢献できるのかをご提案しているのです。
環境への取り組みに関する今後の方針についてお聞かせください。
2017年にTOTOは創業100周年を迎えるわけですが、それ以降も、もちろん環境活動は継続していきます。
環境への取り組みとして、当社は主に「商品・サービス」や「ものづくり」においてCO2排出量削減の努力を進めていますが、実は、お客さまの手に届き、実際に使っていただく段階で発生するCO2排出量の方がはるかに多いといえます。なぜなら、当社の商品は長く使っていただくものだからです。
つまり、TOTOが節水や省エネにつながる商品を生み出し、それをお客さまに使っていただくことで環境負荷を減らすことができる。TOTOは「事業活動そのものが環境貢献につながる」企業なのです。
そのために、当社としても節水・省エネ商品を製造する努力や情報を伝える努力を続けていきますが、お客さまのご協力がなければ実現は不可能です。お客さまの立場からすれば、節水や省エネも大事だけれど、使いやすいことや掃除がしやすいことなど、生活価値という点も重要だといえるでしょう。そのようなニーズに合わせながら、お客さまに選んでいただく商品にするためにはどうするかという点にも注力していきます。
お客さまが努力や意識しなくとも、TOTOの商品を使っていただくだけで、自然とCO2排出量の削減に貢献できる商品やサービスを引き続き展開していきたいと考えています。また、海外には水資源やCO2の問題が深刻な国も多いのですが、節水商品や節水技術をグローバルに展開できる当社は、環境に貢献できるチャンスは多いといえるでしょう。その点をしっかりと社員が認識しつつ、できる限り多くのお客さまにもお伝えしながら、意識を高めていけるような活動を進めたいですね。
節水が環境貢献につながるという「気付き」を与える機会を設け、それを多くの方々に認知していただくことが、これからの、TOTOのひとつの使命ではないかと思います。
冨岡様
貴重なお時間のなか、取材にご協力いただきありがとうございました。今まで以上に、日常生活で節水に気をつけようと思います。
- 創業100周年を見据えた「TOTO GREEN CHALLENGE」
- 家庭内で水を多く使うトイレとお風呂の節水に貢献する商品
- 自然の力を利用した光触媒で空気も家もきれいに
- TOTOの環境への取り組みをじかに伝えたい!
- 水をきれいにするためにできること
- 節水することが節電につながる