今回の「エコなニュース」は、“窓”のトップランナー、YKK AP株式会社様の取り組みをご紹介。
YKK AP様では、“窓”を軸に商品とモノづくり、そして生活者の住まい方の提案を通して、多面的に環境保全に取組んでいるそうです。その詳細は、どのようなものなのでしょうか。
安全環境管理部 環境管理室 室長 松田俊一様
早速ですが、よろしくお願いいたします。
“YKK”と聞きますと、“ファスナー”と“窓”を即座に思い浮かべますが。
そうですね。私たちは、ファスニング事業とAP(Architectural Products ※) 事業を中核に据え、世界 約70カ国/地域で展開しています。
YKK AP株式会社は、快適な住空間を創造する「窓やドア」、そして美しい都市景観を創造する「ビルのファサード」といった事業をグローバルに展開しており、2013年度は連結売上高4,033億円、従業員数16,000人の規模 となっています。
※建築の根幹にあるアートとテクノロジーの要素からなる工業製品
御社の環境保全活動も、“窓”が軸となるのでしょうか?
窓など開口部の建材の見直しや使い方の一工夫で、家全体の省エネ性が大きく向上します。
例えば、冬場は熱の約6割が窓から逃げてしまい、逆に夏場は家の中の暑さの7割以上が窓から入ってくるということが分かっています。このように、窓は室内の環境を大きく左右するのです。
私達は今まで、どちらかと言うとエアコンなどを使うことで、一種“強制的”に室温をコントロールしてきました。しかし当社では、エアコンなどに過度に頼らなくても快適な生活が可能ではないでしょうか、というコンセプトの基、断熱性に優れた窓の開発や、エクステリアも含めた窓を軸にした住まい方の提案を行っています。
窓を良くすること(高断熱化)で、エアコンなどによる電力消費が抑えられ、CO2の排出削減に繋がるのですね。
その可能性は高いです。日本中の家が断熱性の高い高機能な窓を使用するようになれば、実に年間1,700万トンものCO2の発生を抑えることができるという試算もあります。
御社は、“窓”を含め「商品」という視点では「省エネルギー(CO2削減)」「省資源」「リサイクル」、そして「生態系配慮」という4つの切り口で開発・提供を行っていますね。
はい、『APW330』を例にとってご説明しますと、まず「省エネルギー(CO2削減)」においては、例えば窓からの熱損失を抑えるためフレームを樹脂化したり、熱伝導率の低いガラスを使用する事などで、一般的なものに比べて非常に高い断熱性を持つ商品となっています。「省資源」という面では、独自の接着技術を採用したことにより、ガラスとフレームを埋めるパッキンなどの使用量を削減。またこの接着法はフレーム強度の向上にも寄与しているためフレームのスリム化も実現できました。
「リサイクル」については、主要な機能部品を一般工具で100%交換可能な事や、包装材の小サイズ化、また施工現場で発生する廃棄物についてもリサイクル前提に材質を表示する事などで廃棄物量の削減を実現しています。「生態系配慮」という点ではシックハウス対応などに注力しています。
当社は、この四つのキーワードをベースに商品の評価基準を作って「環境製品アセスメント」を運用しています。評価点が50点以上のものを「エコ商品」、そして、その中でも更に高い基準をクリアしたトップレベルの商品を「エコクローバー商品」と位置付けています。
「エコ商品」の割合は、どの程度なのでしょうか?
2013年度に開発した商品は100%がエコ商品となりました。いろいろな課題はあったのですが、それらをクリアしながら100%を達成できたことは、大きな前進と捉えています。商品・モノづくりの現場に、環境配慮の考えが深く根付いている―「当たり前の事」となっていると感じています。
100%を達成した今、次のステップを考えるステージに来ています。
- 「商品」「モノづくり」における“小”エネの追求
- 「住まい方の提案」 ~“小エネ(ローエネ)”という新たな価値を提供~
- 「善の巡環」~地域社会との関わり~