地域社会との対話や協働といった視点では、どういった取組みをされていますか?
一つの例ですけれども、ステークホルダーダイアログを実施しています。以前より事業所の周辺にお住まいの方々との懇談会という形で、対話を行ってきたのですが、ここ数年はお取引先や自治体の方、大学教授などの専門家や学生も交えて、YKKグループが取組んでいる環境活動などについてご意見や要望をお聞きするとともに、それに対する当社の取組み進捗や考えをお伝えする場を毎年設けています。
積極的に、地域社会の方々と交流を深めているのですね。
当社はかなり前から、国内外でこういった取組みを進めています。企業精神に「善の巡環」という言葉がありまして、これはYKKの創業者が作ったものなのですが、他人の利益を図らずして自らの繁栄はない、つまり地域の皆様と一緒に成長して社会全体で良くなっていきましょう、という意味が込められています。
この言葉が生まれた背景には、ファスニング事業の海外進出があります。YKKグループは、1959年と早い時期より海外展開をスタートさせたのですが、当時の日系企業は現地の方々から今ほど良く見られていませんでした。私たちは、現地の皆さんに存在を認めて支持していただきたいと考え、この「善の巡環」という考えのもとに、例えば現地で作ったものを現地で販売し、得た利益を現地に再投資するなど、得たものを日本に持ち帰るのではなく、その地域に雇用や経済の発展といった形でお返ししてきました。
海外でも日本でも、地域の皆さんとの関わりをとても大切にする考えがグループに深く根付いているのです。
1959年というと、かなり早期とお見受けします。お手本などはなかったのではないでしょうか。
そうですね。言葉もよく通じないし、今ほど通信手段も発展していたわけではありませんので手探り状態でした。私たちには「土地っ子になれ」という言葉もあるのですが、20代の有望な若手社員に「あなたは現地の人ですよ」や「骨を埋める覚悟で行ってきなさい」と送り出していたようです。
そして現地の方々のご支持があればこそ、という考えで色々な困難を乗り越えて現在に至っています。
企業精神を基盤に社会との対話・関わりを増やしていく事で会社が良く巡っていく、それを社会に還元する―、まさに「善の巡環」ですね。
“小”エネといい、“巡”環といい、御社の言葉には素晴らしい思いが込められているのですね。
そうですね、ありがとうございます。
松田様、
貴重なお時間のなか、いくつもの御社らしい取組みをお聞かせいただきまして、ありがとうございました。「YKK AP」という社名はよく耳にするのですが、実際の活動やそのベースとなるお考えなどに触れる事ができ、これまで以上に親近感がわきました。
- 「商品」「モノづくり」における“小”エネの追求
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