「大気汚染調査キャンペーン」を始めたきっかけはどのようなものですか。
「大気汚染調査キャンペーン」を始めたきっかけは「酸性雨調査キャンペーン」と同じです。ただし、手軽に調査できる試薬を作るのが難しいという事情もあり、「酸性雨調査キャンペーン」から4年遅れて1997年に開始しました。
(※)「学研サイエンスキッズ」を参照。
調査を行って、分かったことはありますか。
大都市であるほど窒素酸化物の量が多く、汚染の度合いがひどいということです。人口の多さに比例しているといってもいいでしょう。
交通量の多い道路が近くにあるか否かによって、調査結果が左右されるようです。平均値で見ても、大都市は交通量も多いとあって、汚染の傾向は強いですね。長期的に見ると、調査結果の数値は改善しているようですが、酸性雨ほどではありません。実験キットの試薬の特性と調査方法も関係していると思われます。
調査を行う上での苦労点はありますか。
レポートが集まらないという苦労はなかったですね。「酸性雨調査キャンペーン」を先に行っていたこともあって、スタート時でもレポートはかなり集まっていました。
苦労というと、やはり試薬のほうですね。当然ですが酸性雨の試薬同様、舐めても問題ないものを使用しています。開発段階で試薬とろ紙を色で明確に判別できるように反応させるという点では苦労しています。また酸性雨の試薬ほど簡単に結果が分かるものではなく、試薬を含浸させたろ紙があるのですが、そのろ紙を外気に24時間さらしてから試薬を入れる必要があるのです。簡易型にはなっていますが、Nox・SOx(※)を調べるかなり高度な学術的方法を、子どもたちが利用できるこの教材にしっかりと詰め込んでいます。
(※)Nox(ノックス)=窒素酸化物、Sox(ソックス)=硫黄酸化物。工場の排煙や自動車の排気ガスに含まれており、酸性雨の原因にもなる。
「大気汚染調査キャンペーン」は、今後どのように展開していくのですか。
「大気汚染調査キャンペーン」も昨年をもって中止することとなりました。
キャンペーンを行っているなか、子どもたちの反応はどのようなものですか。
正確な数については分かりませんが、子どもたちや学校の先生方から、かなりの感謝のお手紙をいただいております。学校では「環境」という科目がない上に、「㏗(ピーエイチ)」という単位を小学校では教えないことも(文部科学省の指導要領では記載があるようですが)その一因でしょう。これをきっかけに、酸性雨や大気汚染に関心を持ってくれればと思います。
酸性雨調査キャンペーンにまつわる話ですが、かつて「4年の科学」で酸性雨の特集を組みました。その特集を見て酸性雨調査に参加した当時の小学生が「酸性雨の研究」をテーマに作文を書き、文部大臣賞を受賞したということがありました。その後、彼女はそれがきっかけとなって大学で環境について専攻し、環境と経済の両立を目指し経済産業省に入省しました。
ちなみに弊社では1988年ごろからすでに、「UTAN(ウータン)」という科学雑誌で大気汚染などの記事を特集しています。
- ホタルを通じた環境意識-「ほたるキャンペーン」
- “さんせい“雨には反対-「酸性雨調査キャンペーン」
- 大きな反響あり!-「大気汚染調査キャンペーン」
- 実験をじかに体験できる-「科学実験キャラバン」
- 目指せ上位ランク!-「ハイブリッドカーゲーム」
- 無料で配布-「学研まんがでよくわかるシリーズ」