打ち水への取り組みについても、お聞かせください。
打ち水事業を開始したのは、2005年の8月からです。地球温暖化防止、ヒートアイランド現象抑制の対策のひとつとして始まりました。
打ち水はNPOが「打ち水大作戦」というネーミングで全国的にキャンペーンを始めました。そこで区としても、「区民のみなさんに温暖化やヒートアイランドのことを考えるきっかけにしてもらうため、打ち水をやってみよう」と思い、この事業を始めました。
毎年8月を打ち水月間と位置付けて区民の方にPRをし、区役所の本庁舎で打ち水を行っています。呼びかけは大人だけでなく、近くの学童保育室の児童にも行っています。
打ち水というと、使用する水の確保が問題になりますが。
確かに、打ち水といっても水道の水を使ったのでは、環境活動とはいえないでしょう。
足立区役所では、降った雨水を本庁舎の地下に数十トン溜めています。普段でも、トイレを流す水などとして使っています。
この雨水を打ち水に使用しています。もちろん一般の家庭でも雨水や風呂の残り湯を使うよう呼びかけています。
打ち水の効果はどれくらいあったのですか。
2007年の打ち水イベントは、8月7日と10日の2回実施しました。
8月7日(火)に千住にある東京芸術センターの広場まで、20ℓのポリタンクに入れて300ℓを車で運び、近くの学童保育室の児童や、その場所にいた区民の方々にもご協力いただき打ち水を行いました。
東京芸術センターで打ち水をした後、温度変化について測定しました。周辺の気温は0.9℃低下し、地表温度は10.0℃低下という結果でした。地面がコンクリートだったのですが、その分、地表温度が大きく下がったようです。
打ち水は朝や夕方に行うほうが効果を得られるということを聞いています。ただしキャンペーンは多くの人が集まる時間帯になるので、どうしてもお昼時になってしまうのですが。
同年の8月10日(金)には、区役所本庁舎の正面玄関前の広場や庁舎南側の広場で、お昼休みに打ち水を行いました。近くにあるいくつかの学童保育室の児童たちなどに集まっていただき、総勢160名といった大規模なものとなりました。場所が広いこともあって、地下に溜めてある雨水の使用量は700ℓにもなりました。
南側の広場では周辺の気温は0.3℃低下し、地表温度は15.0℃低下という望ましい結果でした。
正面玄関前の広場では、打ち水した後の気温は0.9℃上昇してしまったのですが(笑)、計測時の少し前に、ちょうどそれまでの雲が取れて、暑い日差しになったため、気温が上がってしまったのではないかと考えられます。打ち水に参加していただいた方に計測結果を報告しなければならないのですが、上昇したことを説明するのは非常に難しかったですね。
「こういうケースもありますが、朝や夕方の涼しい時間帯に行うと本来の効果が得られます」といういいかたで理解してもらいました。ただし、地表温度については8.6℃低下という結果となりました。
この打ち水キャンペーンは、今後も毎年続けていきます。区民の方々にも広報やHPなどで呼びかけていきます。
「打ち水を行っても涼しいのはそのときだけ、毎日続けなければ効果はない」などという声もあるのですが、大事なのは打ち水を行うことによって、自分たちで何かするとその効果がきちんと跳ね返ってくるということを知ってもらいたかったのです。
自分のできることを少しでも行えば、1億人が行うと大きい効果となるわけです。それに気が付いてもらうことが大切なのであって、そのきっかけ作りにしていただければということでキャンペーンを始めたのです。
これは、「皆さんが行ったことは環境に優しく、地球のためになることです。これからも環境をいたわる気持ちを忘れずに生活してください」といった、参加した子供たちに対するメッセージでもあります。環境に配慮できる人を育てる、そういうことも区では力を入れて行きたいと考えています。
- 足立区民の努力を形に‐「あだち区民環境家計簿」(1)
- 足立区民への浸透は現在進行形‐「あだち区民環境家計簿」(2)
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