「災害監視」というのも、「だいち」の重要なミッションのひとつです。災害監視については日本だけではなく、世界のあらゆる地域を観測しています。
1997年の国連宇宙会議で提唱された「国際災害チャータ」という国際的な枠組みがあるのですが、これはJAXA(日本)やアメリカ、カナダ、ヨーロッパの宇宙機関、インド、中国、国連人道問題調整事務所など、10以上の国や宇宙機関が加盟しているものです。世界のどこかで自然災害が発生した時に、人工衛星を持っている国は優先してその被災地を観測し、無償で画像を持ち寄りましょうという取り組みです。どこか(人工衛星を持っていない国でも)で災害が発生したら、ただちに事務局より緊急観測要求が発動されます。そうすると、加盟国は最短で撮影できるような運用体制を整えます。「だいち」はセンサを左右(東西)に向きを変えることもできますので、最短で2日あれば撮影が可能です。
昨年(2008年)発生した中国四川省の大地震でも「だいち」は活躍しています。この時は「だいち」が一番早く災害地を撮影し、災害チャータを通じて中国の防災機関に提供しました。国内では、新潟県の中越沖地震や能登半島地震、岩手・宮城内陸地震でも観測を行っています。「だいち」は被災状況だけでなく、地震によってどのくらい地殻が変動したかも判断できます。レーダの地震前と地震後の画像を重ねることで縞模様のように浮き上がってくるのですが、断層の動きや位置を捉えることによって、今後のその地域の防災活動にも役立てもらいたいと考えています。
「資源探査」は主にパルサーの観測画像を使い、地形の特徴などの解析することで、未開発の地下資源探査をしようとしています。この計画は「財団法人 資源・環境観測解析センター(ERSDAC)」が中心となって進めています。
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