社会の環境意識の高まりに合わせ、事業の見直しを遂行
:: バンダイナムコエンターテインメントのCSR・環境活動
「ゲーム」と「環境」は、あまり関連性がないというイメージを持たれる方は多いのでしょうか。
平氏:そうだと思います。2000年代頭は、当社を始めとしてこの業界の企業は環境問題よりもゲームの面白さが第一でした。しかし、2005年頃から環境関連の法律が改正され始め、他の業界の先進企業が動き始めたことで、私達も意識するようになりました。
「環境配慮設計ガイドライン」という環境に重きを置いた基準を作り、事業に反映するという取組みは、アミューズメントマシン業界初です。化学物質管理に関しても2006年から始めており、業界ではもっとも早いタイミングでした。当時から今に至るまで、業界の先頭を走らせていただいています。
アミューズメント業界では環境と面白いゲームを作ることの両立は難しいのでしょうか?
平氏:ゲームの面白さが第一で、環境は二の次という風潮があったからかもしれません。難しいというよりも、そもそも結びついていなかったのです。しかし、社会の流れは変わってきています。2010年に日本総合研究所が実施した「地球環境保護に関する消費者の実態と意識」アンケートの結果によると、家庭用ゲーム機を購入する際、環境配慮製品を選ぶ人が50%以上いたんですよ。
このような社会の変化を受け、ゲームの面白さ、といったことは大前提にあるものの、その上で環境を意識するという考えも生まれてきました。人気のゲームでも、機械が廃棄される時に環境破壊が生じるならば、子ども達は心から「面白かった」と言えるのだろうかという疑問が呈され始めました。
業界における先駆者としてトップを走ってこられたわけですが、当初はその考えを社内で伝えていくことは、ご苦労があったのではないですか?
平氏:簡単ではなかったですね。特に2000年代後半は、社内で「環境活動は自己満足」、「企業の宣伝のためにやっている」と言われてしまうこともあり、理解を得るまでに時間がかかりました。当時の環境関連の法律の厳格化の時流に乗り、品質保証部は法規制で定められた以上の数値目標を掲げたのですが、その結果、高い目標ゆえに「法律の何倍も努力しなきゃいけない」というイメージが社内ででき上がってしまったのです。法律で求められる基準は年々高くなり、最終的に私達がそもそも設定していた目標値とほとんど変わらないものとなりましたが、一度出来てしまった「法律<自社基準」というイメージは根強く、覆すことに苦戦しましたね。
社内で理解してもらうため、環境に興味を持つ社員に直接話し、最新情報を共有するなど、地道な活動を続けてきました。大きなプロジェクトを組むのではなく、各事業部に理解者を作っていくことで、徐々にその規模を大きくしていったのです。
結果的にその動きが功を奏し、今では、化学物質管理は当たり前と認識されるに至りました。企画開発の段階では環境の側面が考慮されていなかったとしても、設計を担う部署が「エコアミューズメント」に認定される製品になるよう仕様設計や部材選定するなど、環境を意識した製品を作り出す良い流れができていると感じています。
他にも、業界の先を行くような活動を実施されていましたら教えてください。
平氏:「エコプロダクツ」や「しながわECOフェスティバル」などの環境系イベントに出展しており、業界では珍しい活動かと思います。子どもが楽しみながら環境を学べる場にするため、廃棄となった家庭用ゲーム周辺機器をリサイクルして作ったどんちゃんデザインの定規(図3左上参照)を配ったり、どんちゃん自身を連れていったりして、面白そうだと感じてもらえるブース作りを心がけています。実際に沢山の子ども達も集まってきてくれます(図3右上、左右下参照)。
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