ホテルニューオータニ

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「循環型社会」をキーワードに、「ホスピタリティ」と「環境」を両立

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ホテルニューオータニ

主要な設備について具体的に教えてください。やはり、「ホスピタリティ」と「環境」という相反する目標を「循環」で解決なさっているのでしょうか?

私達はホテル業ですから、あくまでもお客様の「快適性」が前提となります。その“快適性を維持・増すための省エネ(=環境保全)とは、どういうことができるのだろうか”とまず考えます。

お客様に“「環境」のために少し我慢をお願いします”など、お願いすることはなかなか難しいので、とにかく快適に過ごしていただくために、見えないところで、どれだけ努力をしていくかっていう取組みになります。ここでも一つのキーは「循環」です。

例えば、2007年にザ・メインのリニューアルに伴って導入した空調システムAEMS(エイムス)についてご説明しますと、それまではビル空調で一律の温度管理と各部屋の個別エアコンが基本的な空調管理方式でした。しかしAEMSの導入で、冷房のお客様から出てくる温熱風を暖房に利用したり、暖房から排出される冷気を冷房に活用したり、空気を循環させることでお客様お一人おひとりの快適さと省エネルギーを両立させる事に成功したのです。

この空調システムは、私どもの関連会社が独自に開発したもので、今や他のホテルさんにも導入いただいています。

AEMSの仕組み

まさに循環型社会の中の“小さな循環”ですね。その他はいかがでしょうか?

「ゴミの分別」という視点でお話ししますと、ホテルニューオータニは分別ぶりが徹底しておりまして、現在リサイクル率が約70%と、ホテル業界の平均が30%程度と一般に言われている中で、かなり高いリサイクル率を実現しています。社員への教育を徹底的に行い、また、ホテルニューオータニは企業のオフィスやレストランも入っていますので、そういったテナントにもご協力いただいて70%という高いリサイクル率を実現しています。

生ごみを一例にとりますと、ガーデンタワー1階にあるコンポストプラントを軸に処理・循環させています。ホテルにある数多くの厨房から出る生ごみ5t/日をコンポストプラントで乾燥・発行して有機堆肥にしています。そして工場でさらに発酵を重ねて完熟堆肥にし、ホテル内の庭園などに使用するとともに、契約している農家にも販売します。契約農家でこの堆肥の一部を使用して育った安全でおいしい農作物の一部を、私達が買い取って社員食堂などで利用、という形で循環させています。

生ごみのリサイクル循環図
コンポストプラント

完璧な循環ですね。社員食堂のメニューにはどんな農作物が使われているのですか?

季節によって異なりますが、5月ですと、例えばダイコンが約350キロ、キャベツが500キロくらい入ってきまして、これを調理したものを社員食堂で出しました。あとは、お米ですね。とてもおいしいですよ。

これら農作物を使った料理には、社員に対して分別に協力してもらった“お礼”という気持ちが込められています。また、分別などの活動は継続性が重要ですので、料理の提供などを通して自然な形で浸透―今、私たちが取組んでいる事を次の方に、そのバトンを受け継いでもらう―といった点も意識しています。

70%のリサイクル率は、コンポストなどの機械で全部できるかというと、そうではないのです。最新のコンポストですと、生ゴミでないものが交じっていても機械がある程度自動で仕分けしてくれるものもあるのですが、ホテルニューオータニの機械は初期に導入したものですので、私たち“人”がしっかり分別しないと、なかなか思うように動いてくれない。そういう面では、社員の理解と協力はとても重要なのです。
新入社員には必ず、契約農家での「稲刈り」の研修もあるのですよ(笑)。

契約農家の農作物(一例)
契約農家の水田

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