イケア・ジャパン株式会社

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環境への取り組みはごく自然なこと-「IWAY」

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貴社における、節水と排水の取り組みについてお聞かせください。

ストアの節水と排水の取り組みは、それほど派手なものではありません。例えば、「コワーカー」と呼ばれる従業員の環境に対する意識を高めていくことや、トイレの流れる水の量の調節というような、施設面での取り組みを挙げることができます。

埼玉県の新三郷のストアでは、雨水利用の機能が設置されています。雨水を溜めて、中水として利用することで、節水に貢献しているのです。

このように、従業員の意識と施設内の仕組みという両輪により、節水と排水の取り組みを進めています。これらを管理するのは、メンテナンスチームという部署です。グローバル的には、「IGR(IKEA Goes Renewable=イケアは再生可能エネルギーを使用する)」と呼ばれるプロジェクトがあるのですが、そこでは省エネと再生可能なエネルギーの利用を進めています。「IGR」の下、世界中にある全ストアが、規模の小さなものから大きなものまで、節水と排水の取り組みを進めています。

また、「IGR」はストアだけでなく、サプライヤーやDC(Distribution Center/保管型物流センター)など、全ユニットが取り組みを進めています。その理由は、最終的にはお客様に製品を低価格で提供することにつながるからです。環境への影響も大事なのですが、それに加えて、原材料費以外で関連部署が無駄な設備投資に費用をかけているのでは、低価格で製品を提供するという当社の軸がぶれてしまうわけです。

そのようなことも含めて、パートナーを選ぶときには厳しい条件を設定しています。もちろん、一緒に改善できる部分については協力をしていくのですが。

なお、製品の製造時に大量に水を使う地域においては、別途プロジェクトを設け、水資源へのサステナブルなアプローチを進めています。例えば、コットンの製造のほとんどをインドで行っているのですが、WWFやUNICEFなどの団体と協力して、別のプロジェクトに取り組んでいるのです。

「IGR(IKEA Goes Renewable)」と呼ばれるプロジェクトの内容について、もう少し詳しくお聞かせください。

先述したように、省エネと再生可能なエネルギーの利用という、2本の柱が「IGR」という取り組みの内容です。既存の設備において、いかに従業員の意識を高めて省エネ化を進めることができるか、再生可能なエネルギーを導入できるのかということです。

既存のストアの場合、途中からいきなり「IGR」の2本の柱を導入することは難しいので、太陽光パネルや地熱などの導入というように、段階的な基準を設けています。

エネルギーの利用については、2005年と比較して、2012年までにCO2の排出量を25%削減するというのが、グローバルにおける目標となっています。日本国内のストアは、順調にCO2の排出量の削減に貢献しています。国外のストアでも、太陽光パネルなどの設備投資の承認が下りているところが増えていることもあって、今後はかなりCO2排出量の削減に貢献できるだろうと予想されています。

「IGR」という取り組みでは、世界各国の特徴が影響しているといえるでしょう。日本の場合、太陽光パネルを製造している企業は多いのですが、それを導入する費用が高いといえます。それに対して、国が主体となって導入を奨励しているところでは、低価格で取りつけることが可能です。

また、スウェーデンのストアでは地熱発電を導入して、電気を店舗内で利用するだけではなく、街のなかを運行するバスの燃料としても提供しています。しかし、日本の場合はせっかく地熱発電を導入しても、余分なエネルギーを提供するところがないわけです。その意味でも、日本ではCO2の排出量の削減を地道に進めていくことが重要だといえるでしょう。

水資源へのサステナブルなアプローチのところで具体例として挙げられていましたが、コットンの取り組みについて、詳しくお聞かせください。

これは、オーガニックコットンの取り組みなのですが、水資源が大きく影響します。従来の綿の栽培では、大量に水を使用しなければなりませんでした。しかも、殺虫剤などの薬剤が大量に投入されていたのです。そこで、そのような状況を変えていこうというわけです。

現在はインドの綿花農場の方と、いかに永くパートナーという関係を続けることができるかという視点で取り組みを進めています。インドでは「ベター・コットン・イニシアチブ(Better Cotton Initiative/BCI)」というプロジェクトがあります。これは、オーガニックコットンに切り替えつつ、インドの農家の自立を支援し、現状の綿花の栽培方法が環境や社会に与える影響をある程度改善し、より持続可能な栽培方法にしていくものです。

ただし注意して欲しいのは、イケアでは“オーガニック”コットンにこだわっているのではなく、“使用する水の量に気をつけている”ということです。先述したように、オーガニックコットンというのは大量に水を使うため、栽培方法自体が環境に悪影響を与えているのです。

イケアの考え方としては、環境に配慮するという場合にはオーガニックという以前に、水の使用量を最低限に抑えるべきというところがあります。水は、発展途上国ではとても大切なものなのです。

また、薬剤を必要以上に投下するのも、環境には悪影響を与えます。そのため、最低限の量だけを使用するようし、できる限りゼロに近づけていきます。その意味で“ベター”コットンなのです。

まだ、繊維業界で広く知られる「スカル・インターナショナル(Skal International)」の認証基準を満たすという高いレベルではありませんが、品質のよいものを目指していきます。


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