地産地消という点では環境に関係があるかと思いますが、地域の特産品を使ったハンバーガーを販売していますね。
当社は日本で誕生したハンバーガー専門店であり、国産の食材にはおいしいものがたくさんあるので、それを商品という形にしていきたい想いからスタートしたのが、地域の特産品を使ったハンバーガーの取り組みなのです。
2002年に地域限定メニュー第1弾として、和歌山県古座川町の「ゆず平井の里」で収穫した柚子を搾った「ゆずドリンク」を発売しました。その後、中京地区限定の「モスライスバーガー味噌カツ」や、千葉県・茨城県限定の「モストマトジュース」など、次々と“ご当地メニュー”が誕生していきました。
当初は地域限定で販売していたのですが、そのうちにほかの地域のお客様から食べてみたいという声や、各地から地元の素晴らしい素材を使ってもらいたいという声を数多くいただくようになり、さらに広い地域で“ご当地メニュー”を展開してみようということになりました。そこで、2007年からは期間限定ではありますが、販売地域の拡大や全国への販売を展開しています。
モスバーガーは全国に1,371店舗(※2011年11月末現在)ありますが、安定的に全店舗分の食材を調達することは非常に難しいこともあり、そのため、販売エリアや期間を限定し、“ご当地メニュー”をシャッフルするなど形で取り組みを続けています。
2010年度の「モス日本全国うまいものめぐり」では、全国を5つのエリアに分けて、各地域の素材や名物料理を取り入れたメニューを販売しました。これはエリアキャンペーンとして展開しましたが、それ以外でも国産・地域の素材を使った商品開発が随時行われており、そのような取り組みは当社に根付いたものとなっています。
特に野菜に関しては、「モスの生野菜」として全国約3,000戸の協力農家さんにお願いをし、当社の商品の素材にふさわしいものを作っていただいております。なるべく流通コストもかけず、CO2排出量も抑えたいということで、野菜は採れた地域で商品に使っています。生鮮ものであり、寒い季節など時期的に難しいケースもありますが、できるだけその地域で採れたものはその地域で消費するという取り組みを進めています。
「モス日本全国うまいものめぐり」では、ハンバーガーの素材としてあまり使わないような商品も発売されていますね。
中国・四国・九州エリアで発売された、「明太とり天バーガー」は珍しいかもしれませんね。大分県の名物「とり天」に、明太風味のマヨネーズソースがかかった商品です。
沖縄エリアでは、豊見城(とみぐすく)産のゴーヤーをトッピングした「島野菜のピザドッグ ゴーヤー」というホットドッグを発売しました。沖縄県の食材としてまず思い浮かぶゴーヤーですが、その苦味が意外にもオリジナルソースとソーセージにマッチしています。
毎年、当社の商品開発部では、地域の特産品を使ったハンバーガーの開発に頭を悩ませているようです。モスバーガーの名に恥じないクオリティを提供するため、工場の生産開始直前まで納得の味を目指して試行錯誤を重ねているようです。
なかには、復刻して欲しいという声のある商品もあるのですか。
今年(2011年)は東日本大震災があったということもあり、日本を応援するための取り組み「日本の元気いただきモス!2011」を進めています。これも、「モス日本全国うまいものめぐり」と同じ、全国を5つの地区に分けたエリアキャンペーンです。
「日本の元気いただきモス!2011」では、東北地方を応援する意味を込め、お客様のリクエストの多かった、岩手県の株式会社アマタケさんのブランド鶏「南部どり」のむね肉を使用した「南部どりバーガー」を復刻販売しました。工場自体が被災したこともあり、一時は生産が難しいという状況だったのですが、地域復興という意味も含め、企業として何かできないかと考えていたなかで、アマタケさんのご協力と商品開発部の努力により、販売を実現することができました。
「南部どりバーガー」は過去3回ほど復刻されており、お客様からご好評いただいている人気商品です。私も食べたことがありますが、むね肉がとても柔らかくておいしいですね。
なお、北海道・東北エリアでは、ソースなどが異なる「南部どりザンギバーガー」を販売しています。
当社の商品開発部にアグリ事業グループというものがあり、お客様においしくて安全な野菜をお届けするため、研究や調達、農家さんとのコミュニケーションを行っています。このグループの人たちは、長年野菜を作っていたのではないかというくらい、野菜に関してはスペシャリストですね。当社のなかでも野菜に対する想いはとても強く、農家さんとは非常に固い信頼関係で結ばれています。
当社が元祖(※1973年5月に発売)として知られる「テリヤキバーガー」ではレタスを使っていますが、東日本大震災の影響でレタスが一時的に不作となる恐れがあるという事態が発生したときでも、全国の農家さんからは「モスバーガーさんなら、最優先でレタスを出すよ」という声をいただいくほど、しっかりとした信頼関係を築いています。そういった多くの人たちに当社の商品が支えられているということを、今年は特に強く感じましたね。
創業当時は、店舗の近くの八百屋さんから野菜を調達していましたが、当社は野菜を使用する割合が多いので、地域や品種によって味のばらつきが出てしまいます。特に、トマトやたまねぎではその傾向が顕著でした。どこのお店で食べても同じ味のモスバーガーでなければならず、おいしい商品にするためにはおいしい野菜作りが必要です。おいしい野菜を育てるには土壌からということで、社内でも野菜や土壌の研究を行っていくなか、おいしい野菜を作りたいという農家さんが数多くいることが分かりました。
そこで、“餅は餅屋”ということで、おいしい野菜を農家さんに作っていただき、当社では商品として販売していくという方針に変えて、“契約”ではなく“協力”農家として一緒においしい商品を作るという関係を構築しました。
良質な土壌とするためには農薬を極力削減することが必要であり、そのような取り組みを進めています。おいしい野菜を作るため、日々アグリ事業グループと農家さんで研究・情報交換を行っているほか、農家さん同士でも積極的にコミュニケーションを図っています。
- 「環境推進グループ」の誕生がきっかけ
- 容器や包装資材から“エコ”を実践
- ハンバーガーなどの商品でLCA評価計算を公表
- “ご当地メニュー”の開発で地産地消に貢献
- 「森の町内会」の活動を通じて間伐に貢献
- できることからコツコツと