環境負荷低減の取り組みのなかでも、沿道環境に及ぼす影響の低減についてお聞かせください。
走行時の自動車騒音の問題が発生する所もあり、沿道環境の状況により必要に応じて「遮音壁」を設置するなど、沿道環境の保全に努めています。
また、都市圏の道路では住宅地が近接する箇所もあるため、道路との離隔をとるために「環境施設帯」というものを設ける区間もあります。
騒音の低減という点では、舗装についても工夫をしています。通常は隙間のほとんどない舗装となっており、タイヤ溝と舗装面に挟まれた空気の逃げ道がなくなるので、騒音が出やすくなっています。そこで、騒音の低減を目的として、空隙(くうげき)に音を吸収させる「高機能舗装」というものを採用してきています。高機能舗装には隙間が適度に設けられているので、空気の逃げ道が確保され、騒音が出にくい構造になっています。
また、この高機能舗装は、雨水などが隙間に染みこんで流れていくので、水が溜まりにくく、「ハイドロプレーニング現象」を抑制できるため、交通事故防止や高速走行時の安全性向上にも貢献しています。
この意味で「高機能」というわけです。現在の高機能舗装の整備率は約7割強となっており、今後も計画的に整備を進めていきます。
もうひとつ紹介させていただくと、これは当社が吸音材メーカーと共同研究開発したものですが、橋の伸縮装置(※つなぎ目)部を車両が通過した際、突発的に騒音が発生することがあります。それを防止するため、安価で高い吸音性能と軽量素材を使い、狭小な橋の桁下(けたした)空間でも容易に設置可能な吸音装置(突発騒音吸収装置)を開発しました。試験施工を実施したところ、以前と比較して10デシベル以上の減音効果があることが分かりました。現在、この装置は関越道・横浜横須賀道路・圏央道で採用されています。
- 自然に環境に関する取り組みは始まった
- 高速道路がいかに地球温暖化防止に貢献できるのか
- 騒音による沿道環境へ及ぼす影響を低減する
- 「エコロード」を建設するために
- 将来を見据えた再生可能エネルギーの研究
- 「環境のこれまで」と「環境のこれから」を考えていく