銀座線1000系車両がブルーリボン賞を受賞したという記事を見ましたが、それは環境への配慮という点で高い評価を受けたのが理由なのでしょうか。
ブルーリボン賞というのは、鉄道愛好者団体「鉄道友の会」が会員による投票を基に選定する賞であり、前年中に営業運転を開始した車両のなかで優秀と認めた車両に毎年1回贈られています。2012年4月に運行開始した銀座線1000系車両は、55年にわたる同賞の歴史のなかで地下鉄車両としては初の受賞となりました。
消費電力を大幅に抑えられる「永久磁石同期モータ」をはじめ、「VVVFインバータ制御装置」「電力回生ブレーキ」、騒音や振動を低減させる「操舵台車」や、前部標識灯や車内照明にLEDを採用したことが大きな要素と言えます。地下鉄の特徴のひとつとして「カーブが多い」というお話しをしましたが、「操舵台車」はそれと関係がある技術です。船には、舵を操作するための操舵室というものがあります。その舵を操作するのと同じ原理が、地下鉄の台車についているのです。
環境への配慮という点の他に、新技術による走行安定性の向上や地下鉄開業当時を偲ばせる外観なども高く評価されました。
これは、地下鉄がカーブを通過する際にスムーズに曲がれるようにするものです。通常の台車は車軸を線路と平行に配置しているので、カーブを通過するときに車輪とレールの摩擦によって振動や騒音が発生します。
「操舵台車」では、カーブを通過するときに車軸が自動的に舵を切る仕組みになっています。車輪とレールとの摩擦を減らし、振動や騒音の発生を抑えて通常の台車よりも曲線をスムーズに走行することができ、お客様の乗り心地の改善にもつながります。このような走行性能や快適性の向上も、受賞に大きな影響を与えた要因と言えるでしょう。また、銀座線1000系車両は、従来のものと比べて空調装置が小型化され、連結面や座席横の仕切り、荷棚に透明な強化ガラスを採用し、開放的な車内空間となっています。
- 東京オリンピックの開催される2020年までに何ができるか
- 地下鉄という特徴を踏まえたうえでの環境配慮
- 銀座線1000系車両が、地下鉄では初のブルーリボン賞を受賞
- 車両だけでなく、駅舎にも環境配慮技術や設備を積極的に導入
- 事業展開を通じて、環境負荷低減と魅力・活力あふれる東京の実現