今回は、「金属」「機械・インフラ」「化学品」「エネルギー」「生活産業」「次世代・機能推進」という6つの事業分野を主軸としてグローバルにビジネスを展開し、世界各地の安心・安全な暮らしを支えている三井物産の取組みをご紹介します。
社会環境保全活動やNPO・研究機関への支援助成など、三井物産の社会貢献活動は持続可能性(サステナビリティ)を強く意識されています。三井物産株式会社 環境・社会貢献部 社有林室 次長 近藤 大介氏と同 環境・社会貢献部 地球環境室 占部 奈津子氏に、その多岐多様な活動について詳しくお話をうかがいました。
三井物産では、金属やエネルギー資源の確保、供給など、環境と直結する多くの事業領域をカバーされていらっしゃいますね。環境負荷低減などの取組みの背景や方針などについて教えてください。
近藤氏:おっしゃるように当社は、高い付加価値を発揮する新規事業の立ち上げに携わり、ファイナンスやマーケティング面から事業を推進するなど、常に時代のニーズを見据えて我々に期待される役割と機能を見直し、柔軟に業態を変化させながら世界中で様々な事業を展開しています。
そんな当社のCSRの取組みとしては、1999年に世界経済フォーラムにおいて「国連グローバル・コンパクト」が提唱され、日本においても企業と環境のつながりや社会との接点が重要視され始めた、社会的な環境への取組みの活発化が背景にあります。そのような中、我々もCSRをどのように捉えるかという議論を重ね、2004年に当社は「国連グローバル・コンパクト」の支持を宣言し、同年に、当社独自の経営理念に基づき「CSR基本方針」を策定しました。さらに、2015年に「地球環境の保全」「人権の尊重」「地域産業・生活基盤の充実」「資源・素材の安定供給」「ガバナンスと人材育成」というCSRの5つの重要課題を特定し、課題への取組みを進めています。
「CSR基本方針」は、事業活動においてどのような位置づけなのでしょうか?
近藤氏:当社のMissionは、「大切な地球と、そこに住む人びとの夢溢れる未来作りに貢献」することです。その為にはまず、環境や社会に対する感度を常に向上させ、ステークホルダーの声に耳を傾けて社会の関心や期待、社会課題をいち早く理解すること、そして期待に応え課題解決に貢献していくことが重要と考えています。
そして、事業活動を通じて新しい価値を造り出し、経済や地域社会の発展、人々の生活の向上など、継続的に社会への貢献を行うことこそ、CSR=企業が果たすべき社会的責任であると考えます。従って当社は、社会貢献としてのボランティアや寄付活動のみならず、事業活動を通じた新しい価値創造を通じてCSRを実現します。経営理念そして「CSR基本方針」は当社の全事業活動を実行していく上での土台となります。
三井物産はグローバルに事業展開しており活動領域も多岐に亘るため、当該地域での環境や社会との関わりが必ず出てきます。社会との関わりにおいて、国内外問わず、多様な文化や価値観に根差したライフスタイルが存在します。これらの人々の文化、伝統、慣習や生活を尊重し、協調していかない限り仕事は成立しません。これまでの経験から、ステークホルダーの声に耳を傾けながら事業を展開することの大切さを理解し、その積み重ねがMissionを全うすることにも繋がると考えています。
また、環境という観点では、当社は例えばメキシコでの上下水事業やマレーシアのスマートシティ事業などにおいて環境負荷の低減や改善に取組んでいます。そのため、事業活動そのものがCSRの実践に繋がっています。
当社の社会貢献活動として「三井物産環境基金」では持続可能な社会を実現するための研究や活動を助成しています。また、社有林の「三井物産の森」(図1参照)など持続可能な林業による森づくりにも取組んでいます。これらは、環境保全活動であると共に、広い意味での事業活動の一環でもあると考えています。
社会貢献も事業活動の一環となっているのですね。自然と社員の方々のCSRへの意識も高まりそうですがいかがでしょうか?
近藤氏:「社会貢献は当社が行う全事業活動の一環」という概念の理解は、まだ発展途上だと感じています。社員の中にも、未だにボランティアというイメージを持っている人はいると思います。そのため、社内に向けてCSRの理解を深めるための活動も実施しています。
例えば近年力を入れている活動が「キャラバン隊」です。CSR全般を担っている経営企画部と環境・社会貢献部のメンバーで構成したチームが海外の拠点に赴き、現地のスタッフを対象に説明会を開催しています。説明会では、「三井物産のCSRとは」という基礎的な内容や各地の環境保全の取組みや環境リスク対応について話します。この1年で8か所で行い、今後も発展的に続けていきたいです。
一方、国内では定期的に「CSR推進担当者会議」を設けています。当該会議では、各部門のCSR推進担当者が四半期に一度集まり、社内のCSRに関わる活動全般について報告を受け、またワークショップなどを通じて意識啓発を深めています。そこから得た情報は、各本部で共有しています。
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